導入機器
創業61年目の2011年5月、厨房を大改装。「鱧の骨切り、鮎の塩焼きなどの調理は、見ているだけでもおいしく感じるもの。そうした技に優れた料理人のいいところを、お客様にも見てもらいたい」という女将の願いから、話が進んだそうです。依頼されたのは、厨房設備専門(株)ぞう屋の竹元謙治社長。「女将さんは三代目。早くから先代に鍛えられ、料理屋についてはよく知っておら れますので、目指すイメージは明快でした」と話します。
改装は、料亭によくある独立型の厨房から、すべて見通せるオープンキッチンへと大きく変わる内容です。壁は取り払われ、厨房は隠れるところのないフルオープンになりました。客目線では、エントランスを抜けて店内に足を入れると、見えてくるのはカウンター越しに働く料理人の姿やガスの火です。これで厨房のすべて、と言われるまでは気づかないくらい端正です。その様子を見せながら奥の席へと導く動線になって「見えることで、程よい緊張が生まれ、臨場感はおのずと高められたのではないでしょうか」と、竹元社長。カウンター席(6席)も新たに設けられ、料理人とお客さん(座るのは、ほぼ常連さん)の間は、さらに近くなったようです。
熱源は、カウンターに面した腰高の台に大口のガスコンロが3つ、横にガスグリラー1台、背後にガススチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)が1台設置されたシンプルな構成です。新しくスチコンを入れたので、蒸し器やオーブン類はありません。シンク、調理台、熱源がほぼ横並びに配置され、料理の動きが連続できること。オープンになって“見られる”ために、不要な物は仕舞うようになること。といった効用の結果、以前に比べ、料理に集中できるし、効率は格段に良くなったそうです。調理台の接地部分や床には、ドライキッチンを施設。水で洗い流したあと、床がすぐに乾いた状態になるので、気持ちよく仕事ができるようです。
ガステーブルレンジ(トップバーナ大3口)
ガスグリラー
ガススチームコンベクションオーブン
京料理 先斗町 富美家(ふみや)
会席スタイルで味わえる京料理と、女将のもてなしが評判。1階の客席のほか、2階には離れのような和の個室、鴨川に面したカウンター座敷と、多様な部屋が用意されている。納涼床が終わる10月からは、2階のカウンターで川を眺めながらの食事も。