排水処理とは?仕組みや処理方法・関連法規を解説

排水処理とは?仕組みや処理方法・関連法規を解説

2026.02.09 公開

工場や商業施設からの排水は、法令にもとづいた適正な処理が不可欠です。排水処理は環境対応だけでなく、事業継続や企業の信頼維持にも直結します。
本コラムでは、排水処理の目的や設備の仕組み、処理方式ごとの特徴、関連法規をまとめました。自社に合った排水処理方法を選び、コスト削減と規制順守を両立するための判断材料をご紹介します。
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1. 排水処理とは

排水処理とは、事業所から出る排水を、基準に適合した水質になるよう浄化する取り組みです。健康保護と生活保全のため、排水は安心して放流・再利用できる水質に整える必要があります。

排水処理の目的

排水処理の最終目的は、公共用水域の健全性を保ち、地域社会の安全と快適さを維持することです。目的達成のためには、次の2点が必須となります。

・人の健康を守る
・生活環境を保全する

前者は、有害物質の流出を抑え人体への影響を抑えるのが狙いです。後者は臭気や濁り、富栄養化などの抑制により、暮らしの質を上げることが目的になります。

また、排出水に求められる基準には放流先に応じて二種類あり、下水道に流す場合は下水道法や自治体条例で定められる排除基準を満たす必要があります。一方、河川や海など公共用水域へ排水する場合は水質汚濁防止法による一律排水基準が適用され、自治体の上乗せ基準や横出し基準(水質項目の追加)も遵守が必須です。これらの法令基準を確実に守ることが、事業の安定運営と地域との共生につながります。

排水処理設備の耐用年数

排水処理設備の耐用年数は、次の条件によって異なります。

・設備の種類
・設備の構造
・処理対象の水質条件

たとえば、ブロワやポンプのような回転機器は耐用年数が10年前後です。制御盤や計測機器の場合、15年ほどになります。また、コンクリート製の処理槽や建屋は耐用年数が20年以上に設定されるケースもあります。
耐用年数を超えた設備は、処理能力の低下が避けられません。さらに、異常運転による事故のリスクもあります。放流水質が基準値に満たない恐れもあるため、定期的な点検と部品の更新は欠かせません。

排水処理にかかるコスト

排水処理に必要なコストは次の2種類です。内訳のイメージとともに下表にまとめました。

費用 概要 (例)
初期費用 排水処理設備の建築コスト
  • ・設備設計費
  • ・建設費
  • ・配管工事費
  • ・制御システム導入費 など
運用費用 日々の稼働に関わる費用
  • ・電力代
  • ・薬剤代
  • ・維持管理費
  • ・汚泥処分費 など

排水処理は24時間運転が多いため、エネルギー・処理効率の高い設備を導入することにより、長期的に運用コストを削減できます。

2. 【仕組み】排水処理設備のフロー

排水処理設備のフロー

排水処理の流れは、処理対象の排水に含まれる成分や濃度、満たすべき放流基準などによって異なります。ここでは、代表的な排水処理の流れを紹介するために、有機物を多く含む排水の処理を目的とした有機排水処理を例にとり、その各工程の解説を下表にまとめました。

工程(例) 詳細
前処理
  • ・スクリーンや沈砂槽で大きな固形物や砂分を除去し、後段の負荷を軽減
  • ・目詰まり防止や流入水の安定化に効果的
一次処理(物理・化学処理)
  • ・凝集沈殿や中和などを行い、濁り・油分・金属イオンなどを除去
  • ・処理水の透明度を高め、次工程の生物処理を安定化
二次処理(生物処理)
  • ・微生物のはたらきで有機物を分解
  • ・BOD・CODを低減
三次処理(高度処理)
  • ・膜分離や活性炭吸着などで微量・難分解物質や栄養塩(窒素・リン)を除去
  • ・再利用や厳しい排水基準にも対応可能
汚泥処理
  • ・濃縮・脱水で含水率を下げ、適切に処理・処分する工程
  • ・発生量の抑制や処分費削減のため、前段の最適化も重要
全体設計・運転管理
  • ・原水と到達水質を比較し、必要な工程を最適化
  • ・pH・ORP・DO・濁度などを監視し、薬注や曝気を自動制御
  • ・異常時は遮断・希釈設計で安全性を確保

有機排水が出る食品系工場や、各種金属イオン類などの成分を含む排水が出るめっき加工工場など、工場によって除去する汚染物質が異なります。各段の有無や規模を最適化し、放流基準や再利用水の条件に適合させることが必須です。

3. 排水処理の方法とメリット・デメリット

排水処理の方法とメリット・デメリット

排水処理の種類は、次の3つです。

・生物処理
・物理処理
・化学処理

生物処理

生物処理は、微生物が有機物を分解するはたらきにより水質を改善する方法です。自然の力を活かして排水を処理できます。

生物処理の中で、古くから広く利用されている処理方法が好気処理です。好気処理は酸素を好む微生物が排水中の有機物を分解する方法で、活性汚泥法が代表例です。
一方で、酸素を使わずに有機物を分解する微生物を利用した処理方法を嫌気処理と呼びます。特長は、微生物が有機物を分解する過程で、メタンを含むバイオガスを発生させる点です。得られたバイオガスをボイラや発電機の燃料として有効利用することで、低・脱炭素への貢献が期待できます。

物理処理

物理処理は、固形物や浮遊物を機械的な手法で取り除く方法です。スクリーンや沈殿槽、遠心分離機などを用いて、大きなゴミや砂、油分を分離できます。

生物処理や化学処理に比べて物理処理の設備はシンプルです。点検や修理、メンテナンスもしやすくなります。反面、排水に溶解した有機物や化学物質の除去には十分な効果を発揮できません。

したがって、物理処理を最初に行い、後から化学処理や生物処理を行う構成が主流となっています。

化学処理

化学処理は、排水中の汚濁物質に対して、薬剤を使った化学反応によって除去する方法です。代表的な方法として次の3つが挙げられます。

・中和
・酸化還元
・凝集沈殿

中和処理は、酸性・アルカリ性に傾いた排水のpHを調整し中性付近に戻す工程です。また、酸化還元処理は酸化剤・還元剤を用いて、シアン化物やクロムなどの有害物質を無害化します。凝集沈殿処理は、排水中の微細な懸濁物質を薬剤でまとめて沈殿・分離させる方法です。

化学処理のメリットは、物理処理で対応できない溶解性物質を分解できる点にあります。しかし、薬剤コストや汚泥処理費用がかかるため、ランニングコストがかさみやすくなります。

4. 排水処理に関連する法律・規制

排水処理に関連する法律・規制

排水処理に関する法律や規制は、次の3つです。

・水質汚濁防止法
・下水道法
・公害防止条例・水質保全条例

水質汚濁防止法

水質汚濁防止法は、川や海などの公共用水域や地下水の水質の汚濁を防止し、人々の健康を保護し、生活環境を保全することを目的に、事業場の排水に対して一律排水基準と各種義務を定める法律です。規制の内容は以下の2つで構成されます。

項目名 規制対象 目的
健康項目
  • ・カドミウム
  • ・シアン化合物
  • ・水銀
  • ・鉛 ほか
・健康被害の防止
生活環境項目(※)
  • ・BOD(生物化学的酸素要求量)
  • ・COD(化学的酸素要求量)
  • ・SS(浮遊物質量)
  • ・窒素
  • ・リン ほか
  • ・水の透明度・生態系バランスの保持
  • ・快適な生活環境の維持

※生活環境項目は、一日の平均的な排水量が50㎥以上の特定事業場に基準が適用されます。

事業者には上記の基準遵守に加えて、「特定施設」の設置・変更・廃止時に届出義務が課されます。

下水道法

下水道法は、公共下水道の機能を正常に保ち、都市の生活環境を守り、あわせて公共用水域の水質の保全を図る法律です。
事業場から公共下水道へ排水を流す場合は、下水排除基準の順守が求められます。水質汚濁防止法が「自然環境への影響」を主眼とするのに対し、下水道法は「下水道施設への影響」も意識して規制されています。たとえば、下水処理場の微生物活動や、設備を腐食・損傷から守るために、以下の物質を排水に流すことが規制されています。

・強酸・強アルカリ性物質
・高濃度の油分
・有機溶剤
・重金属類(鉛・クロムなど)
・爆発性・発火性物質

公害防止条例・水質保全条例

公害防止条例や水質保全条例は、水質汚濁防止法や下水道法などの国の法律に上乗せして、細かい基準や規制を設けている自治体のルールです。公共用水域の保全を目的として、地域の産業構造や自然環境の特性に応じて新しく規制を設けます。

たとえば東京都や大阪府などでは、放流水の富栄養化防止を目的として、窒素・リンなどの含有量に厳しい規制がかけられました。

また、化学・金属・食品・メッキなどの工場が多い地域では、特定有害物質(鉛・六価クロム・シアン化合物など)に対して追加の基準を設けるケースもみられます。

5. 排水処理にもとめられる水質・成分基準

排水処理にもとめられる水質・成分基準

排水基準は、下水道法と水質汚濁防止法で定められた一律基準をもとに運用されます。規制の代表例は、BOD(生物化学的酸素要求量)・COD(化学的酸素要求量)・SS(浮遊物質量)や有害物質、窒素・リンなどです。

たとえば、公共用水域へ放流する排水には、水質汚濁防止法の一律基準(BOD 160mg/L以下、SS 200mg/L以下など)が適用されます。また、下水に流す場合は、下水処理場で処理できる項目(BOD,SSなど)は水質汚濁防止法の基準より緩やかな場合もありますが、施設に悪影響を与える項目や有害物質については、下水道法や自治体条例によって、より厳しい基準値が設定されることも少なくありません。

また、一部自治体では、横出し基準を定めるケースもあります。たとえば、大阪市の「生活環境保全条例」では、適用対象事業場の規模が50㎥以上から、30㎥以上に制限されました。加えて、放流先で支障を来たすような色又は臭気を帯びていないことも、基準に含まれます。

排水設備能力を決める際は、国や自治体で定められた基準を確認しましょう。加えて、定期測定と記録の保存を行い、排水の安全性を証明する必要もあります。指定された水質基準を目指して対策を行い、水質を維持する取り組みが必須です。

6. 排水処理設備の導入事例

工場では生産工程に伴う高濃度排水の処理が課題です。食品工場の事例をもとに、排水処理設備の導入背景や効果を紹介します。

【食品工場】日世株式会社 南アルプス工場さま(大阪ガス・Daigasエナジー)
エネルギーサービスにより初期投資ゼロで排水処理設備を導入
バイオガスで発電、さらにボイラで蒸気に有効利用し、CO₂削減・エネルギーコスト低減・廃棄物削減を実現

【食品工場】株式会社第一食品 本社工場さま(大阪ガス・Daigasエナジー)
初期投資ゼロのエネルギーサービスで新工場のユーティリティ設備一式を導入
安定した排水処理、臭気の拡散防止、BCP強化を実現

7. 排水処理のコスト削減・環境負荷低減なら「D-Aqua」

エネルギー会社ならではの水処理サービス「D-Aqua」

排水処理は、法令順守と環境保全を両立するための取り組みです。排水の性質に対して、適切な処理方法を組み合わせることで、水質の安定化・コスト削減・省エネ化を実現できます。

食品工場などで成果を上げた導入事例のように、自社の排水課題に合致したシステムの導入が、排水処理の成功につながるでしょう。基準や規制の遵守による持続的な事業継続にも有効です。

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