「カーボンニュートラルをもっと知りたい」そんな方々に向けて、さまざまな情報をお届けしています。今回のテーマは改正省エネ法(2023.4施行)の報告対象になった「非化石エネルギー」です。政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする方針を宣言しました。大きな転換点を迎えるいま、どのようにカーボンニュートラルを実現するのでしょうか?
基本的なテーマですが、改めて「非化石エネルギー」がどのように定義づけされているのかお伝えいたします。
非化石エネルギーとは、石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を使わずに得られるエネルギーのことです。
2009年7月1日に、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」が定められました。
この法律において「非化石エネルギー源」とは、電気、熱または燃料製品のエネルギー源として利用することができるもののうち、化石燃料(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される燃料)以外のものを指しています。
また、非化石エネルギーの中でも「再生可能エネルギー」と呼ばれているのが太陽や風、水、地熱など自然をエネルギー源としたものです。再生可能エネルギーは資源が枯渇することなく、エネルギー源として永続的に利用することができます。
非化石エネルギー、再生可能エネルギーへの移行は、環境を守ると共に、日本のエネルギー自給率の向上に寄与し、将来的な安定供給につながります。
(参照)
『エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律』(法令検索)
改正省エネ法(2023.4施行)では、すべてのエネルギー使用の合理化が求められ、従来の化石エネルギーに加え、非化石エネルギーも報告対象となりました。
報告対象となった非化石エネルギーを下図に例示し、その中でも主に非化石電気についての概要を紹介します。
なお、事業用発電、自家発電、産業用蒸気、ボイラー等の燃料として利用したものが報告対象となります。
太陽光発電
太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する方法。
太陽光発電の基本的なシステムは、太陽電池モジュール・アレイ、接続箱・集電盤、パワーコンディショナなどで構成されています。太陽電池の種類としてはシリコン系、化合物系、III-V族系、有機系に大別されます。
太陽熱発電
一般に太陽熱利用といえば、日本でもおなじみの屋根の上に置いたフラットプレートコレクタ(FPC)を用いた給湯利用が世界的にも広く普及しています。しかし、FPCは集光しないために温度を上げることができず、給湯用にとどまっているのが現状です。欧州では、パラボラ・トラフ型コレクタのように太陽を追尾して集光するコレクタを用いて、比較的高温の熱を工業用途などに供給する太陽熱の利用の動きがあります。
風力発電
風車により風の持つ運動エネルギーを電力に直接変換する方式。回転軸の方向によって「水平軸」と「垂直軸」に大きく分けられます。さらに作動原理によっても分類され、翼の揚力を利用して高速回転を得る「揚力形」と、風が押す力で低速回転する「抗力形」があります。
水力発電
水の位置エネルギーをエネルギー源として利用する発電方式。水の利用面に着目して分類すると「流れ込み式」「調整池式」「貯水池式」および「揚水式」の4種類の方式があります。中小水力発電で利用する水の種類として、渓流水、農業用水、上下水道、工場内水などがあります。
地熱発電
地熱貯留層まで生産井と呼ばれる井戸を掘り,熱水や蒸気を汲み出して利用する発電方式。広く用いられている「フラッシュ方式」と「バイナリー方式」に分類できます。また地熱貯留層ではなく温泉熱を利用した発電方法も存在します。
・黒液
黒液とは、製紙工程において、チップをクラフトパルプに加工する際にリグニンなどの「樹脂」成分として発生、回収したものです。
・木材
木材とは、森林由来、工場残材由来および建築廃材由来等の木質原料から作られた燃料製品のことです。(例)木質チップ、木質ペレット
・廃タイヤ、廃プラスチック
廃タイヤとは、一般廃棄物や産業廃棄物から分別された使用済タイヤを燃料として使用するものをいい、破砕品、カット品等を含みます。
廃プラスチックとは、再生利用しない使用済プラスチックです。
・水素、アンモニア
事業用発電、自家発電、産業用蒸気等に使用したものを指し、水素については工場等内のみで使用する自動車を含みます。
・非化石熱
非化石熱とは太陽熱、地熱、温泉熱、雪氷熱などが当てはまります。
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