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ZEBとは?カーボンニュートラルのここが知りたい!

「カーボンニュートラルをもっと知りたい」そんな方々に向けて、さまざまな情報をお届けしています。今回のテーマは、建築物の省エネ、創エネを推進するZEBです。ZEBは、省エネや創エネにおいて一定の基準を満たした建築物を指し、日本のカーボンニュートラルの実現を後押しします。ZEBの種類や、導入された背景などを知り、ZEBへの理解を深めていきましょう。

ZEBとは?カーボンニュートラルのここが知りたい!

1. ZEBとは

ZEBとはNet Zero Energy Buildingの略称で、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。

先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制や自然エネルギーの積極的な活用等のパッシブ技術(※1)、高効率な設備システムの導入等のアクティブ技術(※2)の採用により、室内環境の質を維持しつつ省エネを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することで創エネも行い、ZEBの実現を目指します。

※1…断熱、日射遮蔽、自然換気、昼光利用といった建築計画的な技術であり、周辺環境や室内環境を適正に保ち、建物の負荷を抑制します。その上で、光、風等の自然エネルギーを積極的に活用したり、上手く制御したりといったデザイン手法が求められます。エネルギー需要そのものを減らすことで、導入設備を小容量化し、運用時のコストも低減します。

※2…高効率な空調、照明などエネルギーを効率的に利用するための技術であり、適切に制御し、快適な温熱環境を維持することが求められます。

近年では温室効果ガス排出削減などの気候変動対策の推進に伴い、ZEBの普及が進んでおり、その促進のためにさまざまな制度ができつつあります。

背景

2015年に開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、パリ協定が採択されました。これにより、気候変動枠組条約に加盟する196カ国すべての国が削減目標・行動をもって参加することがルール化されました。

この流れを受けて、日本では2020年10月26日の第203回臨時国会において、2050年のカーボンニュートラルの実現を目指すことが宣言されました。

2021年4月22日には、地球温暖化対策推進本部及び米国主催気候サミットにおいて、2030年度には温室効果ガスの排出量を2013年度比で46%削減することを目標にするとともに、50%削減の高みに向け挑戦を続けると宣言しています。これにより、温室効果ガスの排出削減は官民一体となり日本全体で取り組むべき課題となりました。

■需要側のカーボンニュートラルに向けたイメージ

需要側のカーボンニュートラルに向けたイメージ

出所)『建材トップランナー制度の現状等について』(経済産業省)

カーボンニュートラルの実現に資する温室効果ガス削減の推進には、供給側における化石エネルギーの削減及び非化石エネルギーへの転換を進めるとともに、需要側の省エネ強化が必要です。省エネ強化対象部門の産業、民生、運輸のうち、全部門のエネルギー消費量の3割以上が民生部門で消費されています。民生部門ではカーボンニュートラルに向けてZEBの普及拡大や建築物の省エネ基準見直しなどの取り組みが進んでおり、排出削減が期待できるZEBへの注目が高まっています。

(参照)
『2020年以降の枠組み:パリ協定』(外務省)
『地域の際エネ主力化・レジリエンス強化促進事業』(環境省)
『国を挙げて推進するGXとは?注目されるGXリーグの取り組み』(Daigasエナジー)

種類

ZEBの実現・普及に向けて以下の通り4段階のZEBシリーズが定義されています。

4段階のZEBシリーズ

出所) 『脱炭素に向けたガス空調』(Daigasグループ)

※一次エネルギー消費量の対象は、平成28年省エネルギー基準で定められる空気調和設備、空気調和設備以外の機械換気設備、照明設備、給湯設備及び昇降機とする(「その他一次エネルギー消費量」は除く)。また、計算方法は最新の省エネルギー基準に準拠した計算方法又はこれと同等の方法に従うこととする。

※未評価技術は公益社団法人空気調和・衛生工学会において省エネルギー効果が高いと見込まれ、公表されたものを対象とする。なお、未評価技術のリストは、今後、評価方法の更新や未評価技術の実証結果等を踏まえつつ、必要に応じて適宜見直すこととする。

(参照)
『「ZEB PORTAL」 ZEBの定義』(環境省)

2. ZEBのメリットと実現に向けたアプローチ

これまで紹介した通りZEBにはいくつかの種類があり、さまざまな基準が定められています。以下ではZEBにおけるメリットや実現に向けたアプローチを解説します。

メリット

ZEBのメリットは大きく分けて4つあります。

  • 1. 温室効果ガス排出削減及び光熱費の削減
    省エネと創エネにより、従来の建物比でエネルギー消費量が削減できることから、温室効果ガスの排出削減に加えて建物の運用に係る光熱費も削減することができます。

  • 2. 快適性・生産性の向上
    自然や環境と調和した設計、再エネの適切な活用、生活する人々の個人の好みに配慮した空調や照明の制御などにより、省エネルギーを実現しつつ快適性と生産性の向上が見込めます。

  • 3. 不動産価値の向上
    ZEBのような環境・エネルギーに配慮した建物は、他の一般的な建築物と比較して不動産としての価値の向上、街としての魅力の向上などにつなげることができます。

  • 4. 事業継続性の向上
    ZEBを実現することで、災害等の非常時において必要なエネルギー需要を削減することができ、さらに再生可能エネルギー等の活用により部分的又は建築物全体のエネルギー自立を図ることができます。

実現に向けたアプローチ

ZEBに向けた取り組みの方向性として、まずは①外皮性能の向上等により負荷の抑制を行った上で、②自然エネルギー利用及び③設備システムの高効率化を行い、50%以上の省エネルギー(対基準一次エネルギー消費量)の実現を目指します。そして、目標とするZEBに応じて④最適な規模の再生可能エネルギーを導入することでZEBを実現します。

このように、ZEBは段階的にアプローチをすることが可能です。また、ZEBの普及においては、国の補助金制度もあります。さまざまな方法を検討し、ZEBの実現を目指しましょう。

3. ZEB関連補助金

令和6年度においては、ZEB普及による建築物の省エネルギー化を推進するため、経済産業省と環境省による補助金制度があります。

ZEB関連補助金

※1 都道府県、指定都市、中核市及び施行時特例市を除く

実施要領によると、対象になる建築物とならない建築物や、対象となる建築物でも補助率が異なるなど、どちらの補助金にも詳細な規定があるため、補助金の申請を検討する場合は、ZEBプランナーなど、ZEBの専門家に相談することをお勧めします。
 また、各補助金には、対象設備や申請条件等があります。各補助金の公募要領をよく確認し、検討をお願いします。上記の補助金以外にも活用可能な補助金がありますので、詳しくは各執行団体のHP等をご確認ください。

4. まとめ

2050年のカーボンニュートラルに向けて、ZEB取得件数は年々増加しています。取得においては、前述の通り、さまざまな種類のZEBがあるため、建物の保有面積や、省エネ、創エネへの取り組みなど自社やご自身の状況に合わせたZEBを検討することが重要です。

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