コラム

2026.04.07

2026.04.10

米国、イスラエルによるイランへの攻撃と、原油価格、LNG価格の見通し

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米国、イスラエルによるイランへの攻撃と、原油価格、LNG価格の見通し

1. 米国とイスラエルによるイランへの空爆が中東情勢を緊張化

2026年2月28日に、米国とイスラエルは共同でイランの首都テヘランを空爆し、政治・宗教の最高指導者ハメネイ師を殺害して、イランの軍事力の中心となる革命防衛隊の施設を破壊した。もともとは、イランが21世紀に入って、核兵器開発へのウラン濃縮を始めたことを端緒とする。そのため、イランと米国は、長年にわたるイランによる核開発抑制への協議を続けてきた(図表1)。

(図表1)イランと欧米諸国との核開発協議の経緯

概要
2002年8月 イランによる核開発問題が発生
2003年 IAEA理事会でイランに対する非難決議案採択
2006年7月31日 国連安全保障理事会はイランに核開発中止を求める決議採択
2008年9月 遠心分離機約3,800基が設置されたとIAEAが報告
2009年11月 IAEAが核施設建設停止を求める決議を採択
2010年2月 20%濃縮ウランの製造を開始
2011年1月 イスラエルによるイランの核施設へのサイバー攻撃
2011年12月 米国がイラン原油の禁輸を内容とする国防授権法成立
2012年1月 EUがイラン原油輸入禁止で合意
2012年6月 米国のイラン原油制裁法発効
2012年7月 EUがイラン原油禁輸
2013年8月 穏健派のロウハニ大統領就任
2013年11月 イランと6ヵ国が共同行動計画で合意
2014年2月 イランと6ヵ国が包括解決への協議開始
2015年7月14日 6ヵ国とイランが最終合意
2016年1月16日 核開発に関する制裁解除
2016年11月8日 イランの核合意を批判するトランプ米国大統領当選
2017年10月13日 米国トランプ大統領がイランは核合意を順守してないと演説
2018年5月8日 米国トランプ大統領が核合意を破棄、制裁再開
2018年6月26日 米国が各国に対し、イラン産原油の輸入停止を要請
2018年11月5日 米国がイラン原油禁輸の適用除外(180日間)
2019年5月2日 米国がイラン原油禁輸の適用除外の取りやめ
2019年6月13日 日本の石油タンカーがホルムズ海峡付近で襲撃される
2019年6月24日 米国がイランの最高指導者ハメネイ師を制裁対象に
2019年12月31日 イスラム教シーア派民兵がバグダッドの米国大使館襲撃
2020年1月3日 米軍はバグダッドでイラン革命防衛隊ソレイマニ司令官を殺害
2020年1月8日 イランが米軍のイラクの基地を弾道ミサイル攻撃
2021年1月20日 イランの核合意復帰に前向きなバイデン政権発足
2021年6月18日 反米保守強硬派のライシ氏がイラン大統領選挙に当選
2022年8月4日 核合意立て直しに向けた米国とイランの間接協議再開
2022年9月 女性のスカーフ強要に端を発した国内デモとバイデン政権による反人権批判
2023年3月 中国の仲介のもと、イランとサウジアラビアが外交正常化に合意
2023年10月 イエメンのフーシが反イスラエルの戦闘行為
2024年4月 イランとイスラエルの限定的報復
2025年5月 トランプ大統領は、イランとの核合意は近いと表明
2025年6月 イスラエルと米国によるイランのウラン濃縮施設への攻撃
2026年2月28日 米国とイスラエルによる首都テヘランの空爆、最高指導者ハメネイ師殺害
2026年3月 イランは報復として湾岸産油国を攻撃し、ホルムズ海峡の事実上の封鎖

出所:各種新聞報道

一度は、米国の民主党政権とイランとの間で、2015年には核合意が成立している。しかし、イランとの核合意を重視する民主党政権から、イランを敵視するトランプ政権に変わり、米国政府はイランとの核協議を行いながらも、イランへの強硬姿勢を維持してきた。トランプ大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相、トランプ大統領の支持基盤といえるキリスト教福音派の支援のもと、イランへの軍事行動に踏み切った。米国の有権者の25%を占める福音派は、トランプ大統領にとって強力な支持基盤となっている。宗教をもたない人が大部分の日本人には十分に理解できないかもしれないが、キリスト教福音派は、プロテスタント系のキリスト教信者であり、聖書の教えを忠実に守る。人間は神の創造物であり、サルから進化したとする進化論を学校において教えるべきではないと主張する。また、イスラエルは神によって建国を認められ、イスラエルが中心となって中東において最終戦争(ハルマゲドン)を行い、イエス・キリストが再臨するということが神の御心だと信じている。日本人にとっては、不思議な感覚に思えるかもしれないが、実際にトランプ大統領を熱烈に支持する福音派の宗教指導者は、今回のトランプ大統領によるイラン攻撃は、イスラエルを守る神の教えに忠実だと公式の場で表明している。世界最大の民主主義国家、科学的合理主義の中心と考えられている米国には、意外に保守的で聖書の教えを歴史的事実と考える有権者が多い。大統領選挙に勝利したものの、物価上昇によって、2026年秋の中間選挙における苦戦が予想されるトランプ大統領は、岩盤支持層のテコ入れのために、イラン攻撃を行ったものと考えられる。加えて、ベネズエラに対する奇襲攻撃と、マドゥロ大統領の拘束成功により、ハメネイ師を殺害して、親米的な体制に代え、戦闘を短期間に終わらせることができるという誤算があったものと考えられる。

2. イランによるホルムズ海峡封鎖と原油価格

しかし、イランとしてみれば、核協議を行っている最中の奇襲攻撃である。しかも、ハメネイ師という最高指導者を殺害されている。イスラエルによるイランへの空爆が続く報復として、ホルムズ海峡封鎖という最終手段を用いることは予想されていた。ホルムズ海峡は、日量約2,000万バレル、世界の石油生産の2割が通航する石油輸出の要衝のチョーク・ポイントとなっている(図表2:中東地域とサウジアラビアを加えた地域)。

(図表2)地域別石油輸出量2024年(単位:日量千バレル)
世界総輸出量69,438千バレル

地域別石油輸出量(単位:日量千バレル)

出所:世界エネルギー統計レビュー2025年

世界の石油生産量が日量1億バレルといっても、そのうち海外貿易が行われているのは日量6,943万バレルであり、貿易量から考えれば、ホルムズ海峡を通過する比率は28.8%に高まる。ホルムズ海峡は、世界の産油地帯ペルシャ湾の出口として、イランと、UAE(アラブ首長国連邦)、オマーンの飛び地にはさまれた海峡であり、狭いところでは幅30キロメートルしかない。そこを1日に50隻以上の大型石油タンカー(VLCC)が航行し、世界のエネルギー需要を支えている。米国のトランプ大統領は、軍艦によるタンカー護衛も検討しており、欧米先進国に艦船派遣を求める発言をしているものの、現実的には30万トンを超える大型石油タンカーが、往復する幅の狭い海峡は、イランによるドローン(無人機)、小型ミサイルによる攻撃が可能であり、民間の船舶が安全に通航することは困難であり、日本の商船三井、日本郵船、川崎汽船等の海運企業は、ペルシャ湾にタンカーを滞留させ、2026年3月中旬時点における石油タンカーの通航は、ほぼ止まっている。もちろん、世界の石油輸送における大動脈ホルムズ海峡の封鎖に直面しているリスクは、昔から懸念されており、UAEとサウジアラビアは、ペルシャ湾からの迂回石油パイプイラインを建設しているものの、輸送量は限定的なものとなっている。米国、ロシアを除くと、世界的な輸出余力を持つ大産油国は、ペルシャ湾内に集中している(図表3:サウジアラビア、イラン、イラク、UAE、クウェート、カタール)。

(図表3)国別原油生産量割合2024年(単位:千b/d)
新BP統計世界生産量合計96,890千b/d

国別原油生産量(単位:日量千バレル)

出所:世界エネルギー統計レビュー2025年

国際石油貿易が、これほどまでにホルムズ海峡に集中している理由は、ペルシャ湾内に石油輸出施設をもつ、サウジアラビア、イラク、クウェート、UAE、カタール、イラン等は、①原油生産量が多く、それに対して国内の石油消費量が少なく、輸出余力を大きくもつこと、②原油埋蔵量が、他の地域と比較して莫大であること、③原油生産コストが極めて低いこと、等が挙げられる。

3. 今後考えられる原油価格の見通し

上述のように、米国とイスラエルによるイラン攻撃と、それに続くイランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖は、原油価格の動向にとって極めて重要な意味をもっている。ホルムズ海峡封鎖と石油タンカーの運行見合わせのニュースが伝えられると、米国の指標原油のWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)原油価格は1バレル100ドルを超えた。そこで、現時点においては不確定要素が多いものの、原油価格の今後の見通しについて、①ローケース、②ミドルケース、③ハイケースの3つのシナリオを考えてみる。いずれの場合も、トランプ大統領が、支持者に向けて米国が勝利したと宣言し、同時にイランもメンツを保った結論が出ることを前提としている。

①ローケース・シナリオ
イランにおける革命防衛隊の施設の主だった場所を空爆し、イランのハメネイ師、ハメネイ師の側近、最高安全保障委員会事務局長ラリジャニ氏の殺害により、米国とイスラエルが戦争目的を達したとして、一方的に勝利宣言し、イランもホルムズ海峡封鎖の大義がなくなったとして、矛を収める場合。この場合には、原油価格は1バレル50ドル〜60ドルに低位安定する可能性がある。

②ミドルケース・シナリオ
米国、イスラエルが、散発的にイランの重要拠点を空爆し、それに対するイランの、ドローン、弾道ミサイルによる攻撃が、今後数ヵ月にわたって、ダラダラと続く場合。この場合には、本格戦争ともえいず、かといって戦争の出口も見えないことから、トランプ大統領の発言、イスラエルの軍事行動によって、原油価格は1バレル80ドルから100ドルをいったりきたりする可能性がある。

③ハイケース・シナリオ
あくまでも、米国とイスラエルが、イランの体制破壊、親米政権の樹立にこだわって、革命防衛隊の壊滅のために、地上戦を始め、多民族国家イランの民主化に固執すると、アラブの春のときと同じく、イランとの地上戦が泥沼化し、長期の戦闘となって、戦争の落としどころが見えなくなる。イランの内政の混乱により、中東全体が揺さぶられ、原油価格は1バレル100ドル〜150ドルに高騰する可能性がある。

4. 日本にとってイラン危機の意味

米国は、シェール・ガス革命、シェール・オイル革命により、石油・天然ガスの100%の自給を達成し、中東の石油の重要性は低下している。しかし、日本の場合は、原油輸入の95.9%は中東に依存しており、ホルムズ海峡封鎖の危機は大きな意味をもっている(図表4)。

(図表4)日本の国別原油輸入割合2024年度(単位:%)
原油輸入合計2,316千b/d

日本の国別原油輸入割合(%)2024年度

出所:資源エネルギー庁統計

日本は、1970年代の2度にわたる石油ショックの経験から、脱中東依存が叫ばれてきた。しかし、①ウクライナ危機によりロシア産の石油輸入を停止したこと、②中国、インドネシアをはじめとしたアジア諸国が、原油生産量の減少、国内消費の優先により、日本への輸出余力を失ったこと、③米国のシェール・オイルの生産量が増加しているといっても、米国は世界最大の石油消費国でもあり、日本に大量の石油を輸出する能力はないこと、④日本の石油精製設備は、中東の重質原油の処理に向いた設備対応となっていること、等により中東依存度は再び上昇してしまった。しかし、日本の場合は、2026年3月時点において、254日分の国家備蓄、民間備蓄、産油国共同備蓄があり、中東からの石油タンカーも、ペルシャ湾から21日程度の航海日数がかかることから、航海途上にあり、ホルムズ海峡封鎖のダメージが即座にでてくるわけではない。もっとも、目先の石油は足りているとしても、原油価格は国際価格であり、1バレル100ドルを超えて、一部のレギュラー・ガソリン価格は2026年3月20日時点では、1リットル200円以上となっているところもある。また、③シナリオのように、イラン危機が長期化すると、日本の国内石油需給にもボディー・ブローが効いてくる。

5. イラン危機と国際LNG(液化天然ガス)情勢

イラン危機は、石油情勢のみならず、国際LNG情勢にも関係する。中東は、原油生産のみならず、カタールをはじめとして、LNG輸出の大国でもある(図表5)。

(図表5)国別LNG輸出量2024年GIIGNL統計(単位:万トン)
世界輸出量4億580万トン

国別LNG輸出量(単位:万トン)2024年

出所:国際LNG輸入者協会統計

カタールは年間7,700万トンと、米国、豪州に次ぐLNG輸出能力を誇っており、オマーンが年間1,150万トン、UAEが年間600万トンの輸出を行っている。2024年における世界のLNG貿易の23.5%を、中東諸国が占めている。カタールとUAEのLNG輸送船は、ホルムズ海峡を通過しており、世界全体が中東からのLNG供給途絶に長期間直面すると、脱ロシア産天然ガスを目指す欧州諸国、日本以外のアジア諸国は、カタールのLNGに依存しており、打撃は大きい。
さらに、天然ガスは、アンモニア、尿素等の化学肥料の原料生産にも使われ、中東産油国は、世界の化学肥料生産に大きく貢献してきた。そのため、中東から安定的に化学肥料が入手できないと、世界の食糧生産も大きなダメージを受ける。

6. ホルムズ海峡封鎖と日本のLNG輸入−インパクトは意外に小さい

上述のように、国際エネルギー市場の要衝といえるホルムズ海峡の封鎖は、国際LNG貿易にもインパクトを与える。しかし、現時点においては、日本のLNG輸入への打撃は小さい。第1に、日本のLNG輸入は年間6,000万トン程度と2014年頃と比較すると少なくなっている。それは、太陽光発電、風力発電をはじめとした再生可能エネルギーの普及による、夏場のピーク需要におけるLNG火力発電の抑制、原子力発電所の再稼働による。特に、豪州、米国等のホルムズ海峡を通過しないLNGの割合が上昇しており、そのため、日本のLNG輸入におけるホルムズ海峡経由のLNG輸入の割合は小さくなっている(図表6:カタールとUAE)。

(図表6)日本の国別LNG輸入量(単位:万トン)
2024年6,620万トンGIIGNL統計

日本の国別LNG輸入量(単位:万トン)

出所:国際LNG輸入者協会統計

ホルムズ海峡を通航するLNGは、カタールとUAE(アラブ首長国連邦)に限定され、オマーンはホルムズ海峡の外からLNG輸出を行っている。カタールからのLNG輸入量は290万トン、UAEからのLNG輸入量は100万トンと合計390万トンであり、日本の輸入量全体の5.89%に過ぎず、スポット(随時契約)市場において代替調達は可能である。さらに、日本は、LNGはボイル・オフ(低温保存のため蒸発する)ため長期保存ができないものの、商業在庫として20日程度の約380万トンを保有しており、これはカタール、UAEからのLNG輸入量のほぼ1年分に相当する。そのため、短期的にホルムズ海峡封鎖に慌てる必要はまったくない。日本の消費者は、今までと同様に省エネルギーに心がけながら、安心して都市ガスを利用できる。
第2に、カタールの年間7,700万トンに達するLNG輸出が難しくなると、カタールからのLNG輸入に依存している欧州諸国、アジア諸国の需給が逼迫し、LNGのスポット価格は上昇する。しかし、日本のLNG輸入の7割〜8割程度は、原油価格連動という原油価格を指標とする値決めになっており、スポット価格の上昇のダメージは小さい。もちろん、原油価格が高騰すると、原油価格に連動する長期契約のLNG購入価格が上昇する。
日本の場合は、長期契約のLNG購入価格は、JCC(Japan Crude Oil Cocktail:平均原油輸入CIF価格)に一定に係数をかけて、定数を加える、P=ax+bの形をとる。具体的には、
(LNG価格)=0.1485×JCC+0.5(エネルギー・金属資源機構の回帰分析による参考式)という式で表され、
原油価格が1バレル50ドルだと百万Btu当たり8ドル、原油価格が1バレル80ドルだと百万Btu当たり12ドル、原油価格が1バレル100ドルだと百万Btu当たり16ドルと、LNGスポット価格の一つとしてのJKM(極東アジアスポット価格)が、2022年のウクライナ危機時の百万Btu当たり80ドル超、今回のホルムズ海峡封鎖時の百万Btu当たり25ドル超という高騰と比較すると割安となる。そのため、スポット市場により多く依存する中国、アジア諸国と比較すると、日本の電気料金、都市ガス料金への影響は小さい。日本の長期契約は、スポット取引と比較して割高だといわれることも多いが、長年にわたるLNGの安定供給への努力が、こうした危機時に生きてくる。

7. 原油価格、LNG価格の見通しと日本の役割

2026年3月中旬時点において、米国、イスラエルとイランとの戦争は、出口が見えない。そのため、イラン危機とホルムズ海峡危機は長期化するという見方もある。イスラエルは、敵視するイランの体制打倒を目標としていることも、戦闘の長期化を予想させる。
しかし、トランプ大統領は、中間選挙に向けて、自動車社会である米国の有権者が敏感なガソリン価格が、1ガロン4ドルを超えることを危惧している。上述のように、キリスト教福音派の岩盤支持層がいるとしても、それだけでは過半数に届かず、物価上昇に不満をもつ浮動票が離れることを警戒する。既に、反対する民主党は、国際法違反の可能性があるイラン攻撃、トランプ政権になってからのインフレーションの加速を批判している。欧州諸国は、ホルムズ海峡護衛に後ろ向きであり、同盟国の英国も、イランとの紛争への深入りに消極的である。トランプ大統領は、発言に一貫性が弱い面があるため、自分の顔がたつ、つまり「トランプは勝利した」、という宣言ができ、支持者をつなぎとめる結論→重要な軍事施設の破壊等の成果が挙がれば、意外に損となる戦争はしないという方針に変わる可能性があると考えられる。その場合には、原油価格は1バレル60ドル、LNGスポット価格は百万Btu当たり12ドル程度に落ち着き、世界経済への打撃は小さくなることが予想される。
日本は、歴史的にもイランと友好関係をもっており、イランの人々の日本人への親近感は強い。親米のパーレビ政権が倒れ、米国テヘラン大使館員の人質事件もあり、イランと国交を断絶した米国とは歴史的な立場が異なる。米国のトランプ政権とキリスト教とイスラエルは、根っこがつながっており、イスラエルをそもそも認めないイランとの関係は、日本人には理解できないかもしれない。今回の石油の問題の核心はイスラエルにある。日本のイランとの友好関係をテコに、こじれた米国とイランとの仲介の役割を果たすことも可能である。脱炭素の世紀といっても、現時点において中東の石油と天然ガスの重要性に変化はない。これまでの中東諸国への穏健な日本の外交政策は、こうした危機時に生きてくるといえる。


2026年4月10日追記

2026年4月7日、これまでの状況から一変して、パキスタンのシャリフ首相による仲介のもと、米国トランプ大統領は、イランと2週間停戦することを表明した。停戦合意前には、トランプ大統領は、イランへの大規模攻撃を示唆していただけに、国際原油市場、株式市場は少し沈静化した。これにより、ペルシャ湾内の原油タンカー、LNG(液化天然ガス)輸送船等のエネルギー関連の船舶は、ホルムズ海峡を安全に通過する可能性もでてきたものの、2週間の交渉により、米国、イスラエルとイランとの軍事衝突が最終的に終わるのかは予断を許さない。

岩間 剛一(いわま こういち)
このコラムの著者

岩間 剛一(いわま こういち)

和光大学経済経営学部教授(資源エネルギー論、マクロ経済学、ミクロ経済学)
東京大学工学部非常勤講師(金融工学、資源開発プロジェクト・ファイナンス論)
三菱UFJリサーチ・コンサルティング客員主任研究員
石油技術協会資源経済委員会委員長

【略歴】
1981年東京大学法学部卒業、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行、東京銀行本店営業第2部部長代理(エネルギー融資、経済産業省担当)、東京三菱銀行本店産業調査部部長代理(エネルギー調査担当)
出向:石油公団企画調査部:現在は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(資源エネルギー・チーフ・エコノミスト)
出向:日本格付研究所(チーフ・アナリスト:ソブリン、資源エネルギー担当)
2003年から現職

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