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デマンドレスポンスイメージ

2023.07.24

デマンドレスポンスに注目!カーボンニュートラル時代に向けた電力需給対策

2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが急速に広がる中、電力需給バランスの安定化が課題となっています。電力需給ひっ迫に対応しながら脱炭素化に貢献するために、企業は何をすべきでしょうか。注目されているのがデマンドレスポンスです。

1. 企業の電力需給対策はなぜ必要?背景にある事情とは

電力の需要量と供給量のバランス

発電所の供給力不足

電力需給対策はなぜ必要なのでしょうか?
電力需給がひっ迫すると、電力不足に陥り、最悪の場合には大規模停電(ブラックアウト)を招くリスクがあります。電力はもともと蓄えておくことができないため、需要量に対して供給量を同時同量に保つ電力需給対策が必要なのです。
電力ひっ迫に備えた対応として、東日本大震災(2011年3月11日発生)をきっかけに2012年から導入された「電力需給ひっ迫警報」があります。初めて警報が発令されたのは2022年3月のこと。この時の電力需給ひっ迫は、福島県沖を震源とする地震の影響による火力発電所の停止と、3月には珍しい真冬並みの寒さと悪天候によって太陽光の出力が減少するという、想定外の事態が重なったことが原因でした。電力の供給力が下がり、予備率が最低限必要とされる3%を下回ったため、大規模停電のリスクが高まったのです。
2023年度夏季について、政府は「2023年度夏季の電力需給対策」を決定。その中で、10 年に一度の猛暑を想定した電力需要に対し、「全エリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を上回っているが、東京エリアでは7月の予備率は3.1%と非常に厳しい見通し」としています。(2023.6.9経済産業省ニュースリリースより)

エネルギー資源に乏しく、自給率も低い日本

不足しているのは供給力だけではありません。資源エネルギー庁のデータによると、2020年度の日本のエネルギー自給率は11.3%。これは世界的にみても低く、OECD(経済協力開発機構)加盟38カ国中37位にとどまっています。
この自給率の低さは、いうまでもなく国内にエネルギー資源が少ないからで、発電に必要な化石燃料のほとんどを輸入に頼っています。2021年の原油、LNG、石炭の海外依存度は、それぞれ99.7%、97.8%、99.7%。この状況が意味するのは、国際情勢によって資源確保の確実性が危ぶまれるということです。LNGを例に挙げると、ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月以降、欧州でロシア産のガス輸入が停滞したことにより、世界的なLNG争奪戦の激化が懸念されています。

再生可能エネルギーへのシフトの課題

こうした過度な外部依存を低減するとともに、エネルギーの脱炭素化に向け、国は再生可能エネルギー(再エネ)の主力化を推進しています。2022年の国内の電力需要に占める再エネの割合は20.5%と、2割をわずかに超えた程度。2030年度に電源構成の再エネ比率を36〜38%にすることを目指し、さらなる普及拡大が急務となっています。
一方で、太陽光や風力などの自然エネルギーは天候に左右されるため、発電量が安定しないという課題があります。再エネ普及の進む欧州では、2021年に予期せぬ天候の変化で風が吹かず、風力発電量が大幅に落ち込みました。今後、再エネにシフトしていくには、需給バランスを維持する柔軟性を同時に高めていくことが欠かせません。

こうした課題が示すように、日本のエネルギーを取り巻く状況は不安定といえます。電力の安定供給はもはや、発電側による調整だけで解決するものではなく、需要側の積極的なマネジメントがますます重要になってきているのです。そんな中、有効な手段として取り組みが広がりつつあるのが、「デマンドレスポンス」です。

2. デマンドレスポンスが注目される理由

デマンドレスポンスで脱炭素社会実現に貢献

「デマンドレスポンス(以下、DR)」とは、需要家側の負荷を一時的に変動させて、電力の調整力を創出する仕組みのこと。電力の供給状況に応じて需要量を増やしたり(「上げDR」)、減らしたり(「下げDR」)することで、消費パターンを変化させる取り組みです。具体的には、供給量が足りなくなりそうな時に単純に追加発電をするのではなく、需要側が節電する「下げDR」によって電力不足を解消したり、「上げDR」によって太陽光発電等再生可能エネルギーの出力抑制を回避したりすることも可能です。
例えば、先述した2022年3月の福島県沖地震の影響により「電力需給ひっ迫警報」が発令された際には、素材系メーカーを中心としたDRの実施や、大口需要家の節電協力などによって大規模停電を回避しました。

DRは、このように、電力の安定供給に寄与する取り組みといえますが、下記のようなメリット、効果も挙げられます。

脱炭素社会の実現

DRを活用することで、電力がひっ迫しそうな時間帯での節電によるピークカットや、再エネ電源を活用できる時間帯に積極的に電力利用するピークシフトにより、発電によるCO₂排出を抑えることができます。DRが普及して電力利用のタイミングについて柔軟な対応ができれば、再エネ電源を拡大しても安定した電力供給が可能になることから、再エネ電源導入を後押しし、ひいては脱炭素社会実現に貢献できます。

社会的価値の創出

需給ひっ迫時に節電要請に応じたり自家発電機の稼働に協力したりするDRによって、地震による発電所の停止、気温変化による電力使用量の増加、天候不良による太陽光等の再エネ発電への影響などにも対応できるようになれば、災害に強い社会基盤の構築につながります。企業責任としてこうした取り組みを行うことは、国際投資家の間では、ますます重要視されているポイントです。ESGやSDGsの観点からも、企業価値向上に資する取り組みといえます。

改正省エネ法への対応

2023年4月に施行された改正省エネ法では、対象範囲に再エネをはじめとする「非化石エネルギー」が組み込まれました。大規模需要家(原油換算で 1,500kl/年以上使用する事業者)に対して「電気の需要の最適化」、つまり、DRの取り組みが求められることも注目すべき点です。DR実施日数の報告が義務化され、実績に応じた優良事業者の公表や、補助金での優遇等のインセンティブ付与が行われることに加え、今後、需給状況に応じて機動的にDRを行う事業者を評価することが重要とされており、政府はDRのさらなる普及拡大に期待を寄せています。

3. 「D-Response」で電力系統の安定化と再エネ電力の普及拡大に貢献

バーチャルパワープラント(仮想発電所)の構築

Daigasエナジーがご提供する「D-Response」は、節電や自家発電の活用により電力系統の安定化に貢献しながら、報酬を得られるデマンドレスポンスサービスです。電力需給ひっ迫時にお客さまに節電していただき、Daigasグループがお客さまの節電をアグリゲートしてバーチャルパワープラント(VPP:仮想発電所)を構築します。
D-Responseにご参加いただくことで、電力系統の安定化、ひいては再エネ電源の普及拡大など、脱炭素化社会の実現に貢献できます。

まとめ

カーボンニュートラル実現に欠かせない、再エネ電源の普及拡大。今後、再エネ電源導入が増える中で、需給バランスをとるDRが大きなカギを握っています。DRは、電力システム安定化に貢献し、新しいエネルギー社会の形成に寄与する有効な手段として、重要性がいっそう高まるといえそうです。

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