「今はまだ動いているから」「当面は資金が厳しいから」。施設や工場の設備更新は、つい後回しになりがちです。しかし近年、エネルギーコストの上昇や脱炭素をめぐる取引先からの要請などにより、設備更新の先送りは“コスト”ではなく“リスク”として認識され始めています。企業に今求められるのは、脱炭素時代を見据えた、利益改善と経営安定の手段としての省エネ投資です。本コラムでは、先行して設備更新に取り組むことで得られる価値と、負担を抑えながら進める方法について紹介します。
目次
1. なぜ今、「設備更新の先送り」が結果として経営リスクになりうるのか

物価高や人手不足が常態化する中、工場や施設の設備更新は「できれば先送りしたい投資」と捉えられがちです。動いているうちは問題ない、まとまった資金がない、今は忙しくて検討する余裕がない――。こうした理由から、老朽化した設備を使い続けているケースは少なくありません。しかし、こうした先送りの判断が近年、新たな経営リスクになりつつあります。
一つ目の要因は、エネルギーコストの上昇です。燃料の品不足や輸入価格高騰などの影響でエネルギー価格が上昇した場合、高コスト負担の状況が長引くリスクがあります。エネルギー効率の低い設備を使い続けることは、利益を少しずつ削り続けることに等しく、コスト競争力の低下につながります。
二つ目は、外部環境の変化です。国はサプライチェーン全体の脱炭素が重要との見解を示しており、SHIFT事業を通じた工場・事業場の省CO₂化加速支援(環境省)や、GX移行債を活用した民間企業のGX投資促進(経済産業省)などに力を入れています。2050年のカーボンニュートラル実現に向け、サプライチェーンの上流・下流を問わず排出量の把握や省エネへの取り組みを求められる段階になっています。対応が遅れれば、コスト面だけでなく、将来の受注や取引継続にも影響が及びかねません。
三つ目は、設備の老朽化そのものがもたらすリスクです。突発的な故障や修繕対応による操業停止、緊急工事による想定外のコスト発生、代替設備の確保ができないといった事態は、経営に大きなダメージを与えます。特に、保守・管理の難易度が高い設備の場合、古い設備ほど対応が現場任せ、あるいは属人的になり、事業継続(BCP)の観点からもリスクが集中しがちです。国内の製造業を対象とした調査(2025年4月)では、設備の突発停止による年間損失額は平均約1,890万円と試算され、リスクが大きいにもかかわらず、突発停止に備えている企業は約2割という実態が示されました。
こうしたリスク要因が重なった結果、工場閉鎖という重大な経営判断を迫られたケースも見られています。設備更新を先送りすることは、それ自体が、現状維持ではなく静かに少しずつリスクを積み上げている状態だといえるでしょう。
2. 先行して省エネに取り組む企業が“コスト削減”以外に得ている価値

設備更新の効果として最もわかりやすいのは、エネルギーコストの削減です。しかし、こうした設備更新を含めて、先行して省エネ投資に取り組む企業が得ている価値は、それだけにとどまりません。
まず挙げられるのが、設備トラブルの減少によって操業が安定し、保守・管理にかかる現場の負荷が軽減されることです。自動制御や遠隔監視ができる設備を導入すれば、特定の技術を持たない人でも扱いやすい環境を構築でき、人材不足や技術継承の面でも不安を解消できます。
また、省エネ設備の導入やエネルギー利用状況の可視化・把握によって、自社の排出量を“説明できる”状態にしておくことは、企業としての信頼につながります。取引先のスコープ3、つまりサプライチェーン全体での排出削減に貢献できるほか、金融機関から融資金利優遇を受けられるケースもあります。将来の事業継続や新規受注において“見えない競争力”となり、企業価値向上につながるでしょう。
もう一つ重要なのが、経営判断の質が高まることです。エネルギーコストの見通しが立ち、将来的なエネルギー価格変動や制度変更、規制強化にも備えやすくなります。さらに、効率に優れた設備や適切な設備容量に更新しておくことで、生産量増加に伴う設備増強などにも対応しやすくなり、投資判断や事業計画の精度が上がります。中長期的に今後を見据え、先行して取り組んでいる企業ほど将来の選択肢が広がるといえます。
このように、省エネ投資は、事業運営を安定させる“守り”の施策であると同時に、将来の可能性を“広げる”施策としても有効なのです。
3. 設備更新の負担をエネルギーサービスで解消、持続可能な経営の仕組み構築へ
とはいえ、設備更新にはまとまった資金が必要であり、多くの企業にとってハードルの高い課題でしょう。検討にかかる手間はもちろんのこと、どの設備から手をつけるべきか、一斉更新となると操業への影響は…と、懸念は尽きません。そこで有効な選択肢となるのが、Daigasエナジーの提供する「エネルギーサービス」の活用です。

エネルギーサービスでは、エネルギー関連設備等の導入に際し、Daigasグループが設備を設置し、エネルギー加工、メンテナンス等の各種サービスとともにご提供します。企業さまには、初期投資を抑制しつつ、設備導入による省エネ・省コストメリットを享受いただけます。様々なエネルギー関連設備をサービス対象としているほか、付加価値サービス(「メンテナンス」・「オペレーション」・「エネルギーマネジメント」など)をセットにすることも可能です。
エネルギーサービスを活用するメリットは、最新設備導入によるエネルギーコスト削減にとどまりません。稼働が安定し、突発的なトラブルを減らせるのはもちろんのこと、メンテナンスやオペレーションをエネルギーサービスに含めた場合は、維持管理のアウトソーシングによって省人化・現場の負担軽減が可能になります。また、ガスコージェネレーションや太陽光発電といったBCP対策強化に資する設備のご提案や初期投資を抑えた設備導入のサポートも可能です。
また、これからの設備更新は、環境負荷低減を念頭に置いて計画することが避けられません。エネルギーサービスを活用すれば、初期費用が抑えられるため、他の設備更新へ投資を集中させることもできます。
エネルギー関連の設備は、一度導入したら数十年と稼働させ続けるものです。だからこそ、投資対効果を短期的なコスト回収だけで判断するのではなく、「持続可能な経営の仕組みづくり」という長期的視点で捉えることが重要です。
4. まとめ:設備更新を先送りしないことが、将来の選択肢を増やす

設備更新を早めることは、決して余裕のある企業だけの話ではありません。むしろ、社会環境が目まぐるしく変化する今だからこそ、持続可能な経営を実現するための省エネ投資として重要性を増しています。先送りを続けていれば、エネルギーコスト増、突発トラブル、将来の取引の足かせといった形でリスクが顕在化し、将来の選択肢が狭まってしまうことも考えられます。
そうはいっても、設備更新は経営判断の中でも最も難しい選択の一つですから、費用面の不安などからなかなか一歩を踏み出せない企業も多いのが現実です。そうした“必要だとわかっていても進まない”課題を抱えている企業こそ、初期費用を抑えるエネルギーサービスを活用することで設備更新のハードルを超え、自社に合った“1歩目”を着実に踏み出すことができます。
サプライチェーン全体で脱炭素対応が急がれる今、省エネ投資で将来の経営を支える基盤づくりを進めることが、企業の未来に大きな価値をもたらすでしょう。Daigasエナジーは、お客さまの課題に寄り添い、設備検討や計画から丁寧にサポートします。ぜひお気軽にお問い合わせください。



