水質分析データに基づいた設備更新により、排水処理の最適化と管理の省力化を実現

森下仁丹さまは、1893年創業のヘルスケア企業です。口中清涼剤「仁丹」や機能性表示食品「ビフィーナ」をはじめとして、人々の健康や豊かな暮らしに貢献する製品を提供しています。滋賀工場では主に、「仁丹」から着想を得て独自開発した「シームレスカプセル製剤技術」を用いて、医薬品や食品などを徹底した品質管理体制のもとで製造しています。
同工場の安定生産を長年支えてきた排水処理設備について、稼働開始から20年以上が経過し老朽化が進んでいたため、この度、初期投資ゼロの「エネルギーサービス」を活用して設備更新を実施されました。今回は、導入の背景やその成果、今後の展望などについて、生産本部 滋賀工場 技術グループ グループリーダー 福井 稔昌さま、リーダー 脇阪 将太さまにお話を伺いました。
更新によるメリット
- 水質分析データに基づいた最適な設備更新により、排水の安定処理が実現
- エネルギーサービスのメンテナンス契約により、設備管理を省力化
- pH中和処理や汚泥清掃の作業負担を削減
導入前の課題
老朽化および生産品目の多様化により、安定した排水処理を実現するための運用負荷が増加
導入をご検討いただいた背景について教えてください。
滋賀工場の排水処理設備は、2001年の竣工から20年以上が経過し、老朽化が進んでいました。また、設計時には想定していなかった一時的な排水水質・水量の変化が発生していたことが処理の難易度を押し上げており、既設の設備では安定した処理を実現するための作業負荷が大きいという課題がありました。
また、管理の手間がかかっていたことも大きな課題でした。生産工程で使用する釜の洗浄に強アルカリ洗剤を用いていたため、排水のpH中和処理の対応に苦労していました。さらに、生産量の増加と設備老朽化により、加圧浮上槽の配管に汚泥の詰まりが頻繁に発生していました。汚泥を脱水機にかけてバンカーに移動させる際には、ベルトコンベアから汚泥がこぼれ落ちてしまい、清掃作業も大変でしたし、足元が滑りやすくなるなど作業環境の悪化も心配でした。
現場の負荷や安全面のリスクを解消するとともに、工場の安定稼働と確実な排水処理を継続していくために、設備更新による根本的な解決が急務でした。
導入時の検討内容
「設置スペースの制約」と「工場を操業しながらの更新」への対応を模索
導入時の検討内容について教えてください。
更新に際しては、2つの懸念点がありました。
1つ目は、「設置スペースの制約」です。滋賀工場はスペースに限りがあり、既設設備よりも処理能力を増強した上で既存の設置スペース内に収める必要がありました。更新設備の検討にあたり、Daigasエナジーさんには半年以上かけて水質分析を実施していただきました。現状を細かく把握した上で最適な形を提案いただけたことで、最終的に、既存の設置スペースに収めつつ約2倍の処理能力を有する設備に更新することができました。
2つ目は、「工場を操業しながらの更新」です。滋賀工場では長期休暇以外は24時間体制で製造を行っているため、排水処理機能を止めることなく更新工事をしなければなりませんでした。Daigasエナジーさんに知恵を絞ってもらい、屋外に新しい排水処理設備を仮設置する案を提案していただきました。仮設置した設備で約1ヵ月半にわたり排水処理を行いながら、既設の設備を撤去し、工場の操業が停止する年末年始の短期間に本設置工事を一気に行う形で、無事工場の操業に影響を与えることなく更新工事を完遂することができました。
導入後の効果
設備更新により、安定した排水処理が可能に
pH中和処理や汚泥清掃の作業負担も軽減
導入による成果を教えてください。
まずは、調整槽の攪拌機能の強化などにより、より簡単に排水の水質を安定化できるようになったことが一番大きな成果です。pH中和処理については、水質に適した下処理をすることにより、以前は頻繁に行っていた人の手による対応もかなり削減できています。汚泥の搬送設備をベルトコンベアからモーノポンプに変更したことで、床への汚泥漏れがなくなり、大変な清掃作業からも解放されました。
さらに、操作盤のタッチパネル化により、各種操作の簡略化とともに、排水のpHや流量のリアルタイムな「見える化」も実現しました。水質変化のデータを収集・蓄積できるようになったため、生産品目変更に伴う排水の傾向も把握しやすくなり、より精度の高い安定運用が可能になっていくと感じています。
導入の決め手
水質分析データに基づいた納得感のある提案と、エネルギーサービスのメンテナンスによる管理の省力化が決め手
Daigasエナジーにご依頼いただいた決め手や評価頂いたポイントを教えてください。
今回の更新にあたり、Daigasエナジーさんにはきめ細やかな対応をしていただいたと感じています。時間をかけて水質調査を実施いただき、その分厚い報告書には分析の結果と改善案が詳しく書かれていました。どんな質問をしても的確に回答いただき、かなり知見をお持ちだと感じました。データに基づいた根拠のある提案だったので安心して進めることができました。
また、エネルギーサービスを利用できたこともよかったです。初期費用ゼロで設備更新ができるメリットはもちろん、15年間にわたるメンテナンスやアフターフォローが含まれているのがとても魅力的でした。できる限り設備の維持管理にかかる手間を減らし、本業に集中できるようにしたいと思っていますので、アフターフォローが手厚いのは有難いです。今後も生産品目の変化や材料の多様化によって、排水の水質がさらに変化していく可能性もあるので、その際はご相談させてもらいたいと思います。
今後の展望
地球環境への配慮に資する提案やメタネーション技術の実現に期待
今後の展望や、Daigasエナジーに期待することを教えてください。
当社では創業130周年を契機として、中長期視点で取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定しました。そのうちの1つが、「地球環境への配慮」です。当社のパーパスの中にも「この星すべてに思いを巡らせ」というフレーズがあるのですが、まさにこの「地球環境への配慮」を指していると思っています。
具体的には「気候変動対策」と「環境負荷の低減」を目指し、全社をあげて推進しています。特にCO2排出量については、2030年までに2013年度比で46%削減を目標としています。この取り組みを加速させるために、Daigasエナジーさんには、カーボンニュートラルや水資源の有効活用に資する提案をお願いしたいと思っています。メタネーション技術についても取り組みを進めていただき、早期に実現されることを期待しています。
担当者からひと言
吉岡 朋紀
法人第3営業部
今回の排水処理設備の更新に際しては、お客さまと密にコミュニケーションを取らせていただきながら検討を進めました。現状の水質分析を丁寧に行い、データに基づいてご提案したことでお客さまに信頼いただけたと感じています。また、排水処理設備の仮設置を行う際の社内調整をはじめ、お客さまには多大なご協力をいただきました。まさに「二人三脚」と言える体制で臨めたことに心から感謝申し上げます。
今後もお客さまと対話を重ね、課題やニーズをお伺いしながら、最適なご提案ができるよう取り組んでまいります。そして、お客さまが掲げられているCO2削減目標達成に向け、Daigasエナジー一丸となってサポートさせていただきたいと考えております。
お客さまのご紹介
森下仁丹株式会社 滋賀工場さま
森下仁丹株式会社は、1893年に創業したヘルスケア企業。医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、食品などの製造・販売を行っている。 「思いやりの心で、オモロい技術と製品で、一人に寄り添い、この星すべてに想いを巡らせ、次の健やかさと豊かさを、丹念に紡いでゆく。」をパーパスとし、創業130年を超えてなお、さらなる技術革新による価値提供に挑戦し続け、「社会課題の解決」に向けて邁進している。
滋賀工場は2001年に、びわ湖東部中核工業団地内にて操業開始。同社の基幹技術である「シームレスカプセル製剤技術」を用いた医薬品や食品の主力生産拠点であり、世界最大級規模の専用工場として、国内外へ安定した供給を行っている。
- 所在地
- 滋賀県犬上郡多賀町四手諏訪960番地12
- お客さまホームページ
- https://www.jintan.co.jp/


※掲載の情報は取材当時(2026年4月)のものです。



