効率的なエネルギーシステム構築によって電気・空調・給湯を24時間持続可能にして、地域医療を支えるBCP機能を実現

公益財団法人浅香山病院は、大阪府堺市にある20を超える診療科を持つ総合病院です。24時間内科救急で地域医療を支えるとともに、100年の歴史を持つ精神科では、堺市の認知症疾患センターの役割も担っています。
同院では2024年に、長年ご使用されていたコージェネレーションやナチュラルチラー(ジェネリンク※)、温水ボイラの更新を実施されました。今回は、検討の背景や導入後の成果、今後の展望などについて、管理課 課長の福田 彰さまにお話を伺いました。
※コージェネレーションの廃熱を冷房の熱源として優先的に利用できるナチュラルチラー
更新によるメリット
- コージェネレーションの更新によりBCP機能を更に強化
- A館・B館で空調機・給湯器を連通により相互にバックアップが可能
- 空調容量の適正化による削減等、省エネ・省コスト・省CO2を実現
- メンテナンス契約により、設備管理業務の負担が軽減
導入前の課題
経年による故障リスク対応とBCP強化のため、エネルギー設備の更新を検討
導入をご検討いただいた背景について教えてください。
今回設備更新を検討したのは、A館・B館の2棟で構成される、約700床ある精神科エリアの施設です。既存のコージェネレーションは設置から25年以上、ナチュラルチラー(ジェネリンク)もA館用・B館用ともに20年以上が経過していました。各設備に経年劣化が生じ始めており、エネルギー効率の低下が課題となっていました。また、メンテナンスにおいても部品の供給が終了しているものもあり、故障時に対応できないかもしれないリスクを抱えていました。多くの患者さまの命をお預かりしている病院として、設備の安定稼働はとても重要ですので、更新に向けて検討を進めました。
検討に際してはガス設備以外の選択肢も含めて比較を行いましたが、エネルギー効率や長期的なランニングコスト、災害時のBCPの観点で総合的に検討した結果、引き続きガスのコージェネレーションとナチュラルチラー(ジェネリンク)を更新する形がベストだと判断しました。
導入時の検討内容
機器の搬入や通風力不足の問題に対し、抜本的な解決策を模索
導入時の検討内容について教えてください。
更新を検討していく中で、2つの問題が浮上してきました。
1つ目は、更新機器の搬入についてです。
コージェネレーションは200kWの機器を2台使用していましたが、更新にあたり同容量の後継機種がなく、400kWの機器1台へ更新することになりました。容量が増えると当然機器も大きくなり、地下機械室へどうやって搬入するか、という問題が出てきました。Daigasエナジーさんで現場調査を行い検討してもらった結果、「コージェネレーションを分割して、クレーンを用いてドライエリア※から搬入する」方法を提案いただきました。針の穴に糸を通すような作業でしたが、事故もなく無事に完遂いただきました。
※地下室を有する施設につくられる、採光や防湿、通風や避難経路の確保などを目的とした空間


ドライエリアからの分割搬入の様子
2つ目は、地下機械室の通風力不足への対応です。
更新後の設備であらためて必要通風量を計算したところ、既存の通風設備では能力が不足することが分かりました。通風設備の容量を増やすことは難しく、計画が白紙に戻ってしまいました。この問題を踏まえてあらためて検討してもらい、下記の2つの策を考案いただきました。
①地下機械室に設置されている温水ボイラ2台を、高効率の給湯器22台へ更新し、屋上設置にする
②A館・B館で独立していたナチュラルチラー(ジェネリンク)を連通させて、空調容量を最適化して削減する
①については元々計画にありませんでしたが、屋上設置にすることで通風量を考慮する必要がなくなりますし、さらに、給湯器を多数台設置することで故障時のリスクを分散できるというメリットもあったため、更新計画に加えることにしました。
②については、空調を連通させることで故障時のバックアップができ、BCPが強化されるというメリットもありました。また、元々合計で1000RTあった空調容量も700RTへスリム化することができ、省エネ省コストにもつながると考えました。
通風力不足の課題が解決できるだけでなく、バックアップ強化やコスト削減も実現できる案だったため、これらの案を採用し更新を進めることにしました。
導入後の効果
「電気、空調、給湯が止まらない」システムを構築しBCPを強化
導入による成果を教えてください。
まずは、コージェネレーションの更新によりBCP機能を引き続き確保できてよかったと感じています。加えて、A館・B館の空調・給湯が相互でバックアップできるようになり、BCPが強化されました。高耐震性の中圧ガスが供給され続ける事で災害時でも、「電気や空調、給湯が止まらない」というシステムを構築できたことは、患者さまの命と健康を守る病院として大きな成果だと思います。
空調については、ナチュラルチラーの機器自体の高効率化に加え、A館・B館の連通や容量削減等も含めて省エネ・省コストが実現しています。当然、CO2排出量も削減できて環境負荷の低減にも寄与できました。
また、以前はメンテナンス対応に手が取られていましたが、更新後はメンテナンス契約により管理の手間がほぼ解消されました。コージェネレーションは遠隔監視でトラブルの際にもすぐに対応いただけるので安心感もあります。
そして、工事期間中に発生する騒音や振動に対し、時期や時間帯を各現場で詳細な調整を行なう事で、患者さまや職員へご迷惑をお掛けすることなく、無事に更新が完了できた事も成果だと感じています。
導入の決め手
課題やニーズを踏まえた最適な提案と現場の細やかな対応を評価
Daigasエナジーにご依頼いただいた理由や評価いただいているポイントを教えてください。
元々コージェネレーションをはじめとしたガス設備等の長年の実績や企業としての信頼感はありました。設備更新については、我々の課題やニーズを踏まえた内容を検討し、最もメリットのある提案をしていただきました。
工事の作業内容やスケジュール期間においても、我々の要望に対し、試行錯誤しながら検討して提案をしてくれました。中でも、入院患者さまや病院運営に影響が大きい停電作業がありましたが、作業工程の見直しを何度も行い、停電時間の大幅な短縮によって影響を最小限にするための調整も行ってくれています。
また、前述の機器の搬入や通風力不足の問題に対しても知恵を絞って解決策を提示いただき、無事に工事を完遂いただいたことを有難く感じています。
今後の展望
省力化のためエネルギー関連業務の一元管理を希望
今後の展望や、Daigasエナジーに期待することを教えてください。
災害時にはエネルギーだけでなく「水」の確保も極めて重要です。当院の地下には水脈があり、井水設備を新設して水のBCPも強化したいと考えており、Daigasエナジーさんにご相談しています。
また、人手不足が深刻化していく中、病院の設備管理業務を軽減していくことが急務となっています。将来的にはエネルギーに関わる全ての業務をDaigasエナジーさんにお願いし、一元管理してもらえたら有難いと思っています。
担当者からひと言
松本 あずさ
法人第2営業部
今回の設備更新では、お客さまのBCPやコスト削減といったご要望や、検討の中で出てきた問題に対し、社内各部署と協力しエンジニアリング力を結集させて対応していきました。熱計測に基づいた設備容量の最適化によりコストダウンを図ったり、設備配管を連通させてBCPを強化するなど、浅香山病院さまにあわせたご提案を評価いただけたと感じています。
また、今回の工事で約2年間病院に常駐した当社社員に対し、施設課の方から「工事が終わっても帰らないでほしい」との温かいお言葉をいただいたことは、私たちにとってこの上ない喜びでした。
今後も営業担当としてお客さまのニーズを汲み取り、社内の専門部署と連携して知恵を絞りながら、ご要望にお応えできるよう取り組んでまいります。
お客さまのご紹介
公益財団法人 浅香山病院さま
公益財団法人浅香山病院は、大阪府堺市で地域の方々のこころとからだを支える総合病院。「人々のために、地域のために、社会のために、健康と幸せを追求し、信頼される病院を目指す」ことを理念とし、1922年の創立以来、100年以上にわたって地域医療に貢献している。精神科・一般診療科それぞれに、超急性期から回復期、療養・維持期にいたるまで、さまざまな病棟機能を整備しており、中でも、精神疾患と身体疾患を有する合併症患者さまに対する治療を提供するための全国的にも数少ない専用病棟を設置し、総合的な治療が提供できる体制を整えている。各関連施設間はもちろんのこと、地域の医療機関や福祉施設、行政機関などと連携を図り、トータルヘルスケアで地域を支えている。
また、訪れた人々に「癒やし」も提供できるように空間づくりにも工夫を凝らしており、約32,000m2の敷地内に四季折々の樹木を植え、西館には屋上庭園を設置するなど、緑豊かな環境を創出している。
- 所在地
- 大阪府堺市堺区今池町3-3-16
- お客さまホームページ
- https://www.asakayama.or.jp/


※掲載の情報は取材当時(2026年1月)のものです。

