両面受光型の太陽光パネルを初期投資ゼロで設置し、「創エネ型のゼロエミッション工場」の実現に向けて前進
株式会社LIXILさまは、建材製品、水まわり製品などを開発・提供する総合住宅設備機器メーカーです。世界150カ国以上で事業を展開され、毎日10億人以上の人々の生活を支えています。2020年に「LIXIL環境ビジョン2050」を策定され、その一環として取り組まれているのが、2050年までに事業プロセスと製品・サービスを通じてCO2排出量を実質ゼロにすることです。近年では有明工場を含めた国内外の生産工場6拠点で太陽光発電設備を導入されるなど、再生可能エネルギーの活用を進められています。
有明工場は、東京ドーム約8個分(361,616m²)相当の敷地面積を有する巨大な工場で、ビル用や住宅用のサッシなどを生産されています。有明工場において、2024年2月に1.4MWの太陽光発電サービスD-Solarを導入頂きました。今回は、導入の背景や検討の経緯、今後の取り組みなどについて、LIXIL Housing Technology 生産本部 西日本統括工場長 兼 有明工場工場長の高橋 崇介さまにお話を伺いました。
D-Solar導入によるメリット
- 初年度で約178MWhを発電し、約843tのCO2排出量を削減できる見込み
- PPA方式により、初期投資ゼロで長期的な電力コストの安定化が可能に
- 発電量を可視化することで、従業員の環境意識向上につながる
導入の背景
ゼロエミッション達成には再生可能エネルギーの活用が不可欠
導入をご検討いただいた背景について教えてください。
当社は「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」を企業パーパスとして掲げています。2020年には「LIXIL環境ビジョン2050」を策定し、温室効果ガスの排出削減や節水・水の循環利用、資源の循環利用などの取り組みを強化しています。
有明工場では「創エネ型のゼロエミッション工場へ」を合言葉に、部署を横断するメンバーで「環境管理委員会」や「ゼロエネルギープロジェクト」を立ち上げ、活動を推進しています。立ち上げ当初は若手従業員が中心の「ゼロエネルギープロジェクト」でしたが、今ではベテラン従業員も参加しています。ベテランの知見を活用しつつ、皆で有明工場の5年後、10年後のあり方を考えた施策や活動について、知恵を絞っています。
有明工場にはアルミ製品の材料部門があり、製造工程の中で多量の電力を使用します。そのため、電力を再生可能エネルギーへ切り替えることを重要な課題のひとつに位置付けています。太陽光発電については、2011年に自治体などの協力を得て、FIT売電事業としてメガソーラーを設置しました。設置当時はLIXIL国内最大規模だったこのメガソーラーの最大発電出力は、一般の家庭の約1,200軒分に相当する3.75MWです。私たちが目標とするゼロエミッションを達成するためには、メガソーラーと組み合わせたさらなる取り組みが必要でした。さまざまな施策を検討する中で、今回新たに太陽光発電を設置することになりました。
導入前の検討内容
工場の空き地を利用し、両面受光型パネルで発電量の最大化を検討
導入前の課題やご検討事項について教えてください。
当社では、毎年、本社が環境方針を作成し、それに沿って各拠点で目標設定をしてCO2排出量の削減に取り組んでいます。そのため有明工場でも、本社と連携を取りながら具体的な施策を立案、実行してきました。
太陽光発電に関しては、設置場所から自家消費型や売電型などの種類まで、さまざまな観点で社内協議を行いました。例えば、工場の屋根や南側の壁面への設置も案としてあがりましたが、パネルの荷重や発電効率を検討した結果、最終的に工場敷地内の空き地を利用することにしました。それでも、新たな太陽光発電の導入は、発電量や初期コスト、海沿いの立地などの課題をクリアしなければなりませんでした。そうした条件を提示させていただき、複数の企業と相談を進めた中でDaigasエナジーさんのPPA方式による太陽光発電サービスD-Solarのご提案に魅力を感じました。初期投資なしで設置できるという大きなメリットに加え、両面受光型パネルであれば発電量が約5%増え、PPAの電力コストを下げることが可能になるという提案でした。
導入後の成果
目標の約10%に相当する年間843tのCO2排出量を削減
導入後の成果について教えてください。
初年度で発電量約178MWh、CO2排出量は843t削減できる見込みです。工場におけるCO2排出量に関しては、これまで実施してきた他の施策と合わせて、2018年比で約40%の削減を達成できると想定しています。また、発電モニターを守衛室と事務所につけて、リアルタイムでの発電量がわかるようにしました。これは、従業員の省エネ意識向上に役立っています。太陽光発電の設置場所には、発電概要がわかる看板を設置し、工場見学などで来訪される方への環境プロモーションを行っています。
導入の決め手
初期投資不要のPPA方式で電力価格の高騰リスクを回避
Daigasエナジーにご依頼いただいた理由を教えてください。
最終的に価格、設備、立地対応の3つの面からDaigasエナジーさんのD-Solarを採用することにしました。価格面では初期投資が不要なPPA方式に大きなメリットを感じました。20年間の長期契約で電力料金が変動しないため、電力価格高騰のリスクを回避することができます。太陽光発電設備を自社で設置することも考えましたが、初期投資がかかること、維持費やメンテナンス費用が発生することに対し、PPA方式は長期的にかかる総コストを抑えることができるという点が優っていると判断しました。
設備面では、通常の太陽光パネルと比べて発電量のアップが見込める両面受光型パネルのプランを提案いただきました。野立て設置のため屋根のように耐荷重などの条件に縛られることもなく、空き地を有効利用することができました。
立地面においては、海沿いの敷地のため当社製の錆びに強いアルミ製架台の採用に加え、保証などの条件について十分に協議させていただき、導入を決定しました。
今後の展望とDaigasエナジーへの期待
創エネ型のゼロエミッション工場を実現するためにさらなる取り組みを模索
今後の展望やDaigasエナジーに期待することについて教えてください。
直近では、両面受光型パネルの発電量をさらにアップさせるために、設備の下に白い除草シートの試験的な敷設を計画しています。また、将来的に太陽光パネルの軽量化が実現すれば、工場の屋根や壁面に太陽光パネルを設置することも検討したいと考えています。
今回、太陽光発電の導入を進める中で、前述の「ゼロエネルギープロジェクト」のメンバーでDaigasエナジーさんの研究開発施設を見学させていただく機会がありましたが、そこで紹介されていた蓄電池や水処理などのソリューションも興味深く、将来的に活用を検討していきたいと思いました。
また、Daigasエナジーさんのご協力のもと工場のエネルギーの見える化も進めており、生産過程での省エネ・CO2排出量削減についても実施していきたいと考えています。
担当者からひと言
LIXILさまは2050年までの目標達成に向けて、再エネ活用をはじめとしてCO2排出量の削減を進められています。今回のD-Solarの導入では、CO2排出量削減の観点はもちろん、コストや保証内容の面でも長期的にメリットを感じていただけるようご提案させていただきました。今後もさまざまな取り組みを検討されていますが、ご要望の中には今は技術的に難しいことであっても将来可能になることもあると感じています。Daigasグループの今後の技術開発の話を含めて情報提供させていただき、LIXILさまの将来展望に沿ったご提案をしていきたいと考えています。
広域営業部 中路 健斗
お客さまのご紹介
株式会社LIXIL 有明工場さま
株式会社LIXILは、2011年に国内の主要な建材・設備機器メーカー、トステム、INAX、新日経、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社が統合して誕生した。さらにGROHEやAmerican Standardといった世界的ブランドを統合し、グローバル事業を展開している。世界150カ国以上で事業に取り組み、従業員数は約5万5000人。先進的な水まわり製品と建材製品を開発・提供し続け「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」を目指している。有明工場は1977年に操業を開始し、形材の押出、表面処理、サッシの加工・組立・完成までのすべての工程を行っている。
- 所在地
- 熊本県玉名郡長洲町大字名石浜25
- お客さまホームページ
- https://www.lixil.com/jp/
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