初期投資ゼロのソーラーカーポートにより、CO2排出量削減とBCP強化を実現
株式会社ミクニさまは「豊かな社会づくりに貢献する」を企業理念に、自動車関連部品、ガス制御機器をはじめとした生活環境機器などの開発・製造を行う100年企業です。近年は電動車向け製品の戦略的開発も行い、CO2削減に関わる技術開発にも積極的に取り組んでいます。
サステナビリティに向けた取り組みにも力を注がれており、二輪車製品・四輪車製品の主力工場である菊川事業所さまにおいて、2024年1月にソーラーカーポートを活用した太陽光発電サービス「D-Solar」を導入いただきました。D-Solarの発電により、CO2排出量が年間で約349トン削減できる見込みです。また、停電時にも独立して発電する機能が備わったことでBCPも強化されました。
今回は、導入の背景や検討の経緯、今後の取り組みなどについて、コーポレート本部 サステナビリティ推進室 室長の柏原 隆志さまにお話を伺いました。
D-Solar導入によるメリット
- 年間で約750,000kWhの電力を発電し、約349トンのCO2排出量を削減見込み
- 停電時に非常用電源として活用することにより、BCPを強化
- 日除け・雨除けになるカーポートで、従業員駐車場の利便性が向上
導入前の課題
カーボンニュートラル実現の自社グループ目標に向けて、太陽光発電の導入を検討
導入をご検討いただいた背景について教えてください。
ミクニグループでは、Scope1(※1)とScope2(※2)の温室効果ガスを2030年度までに50%削減(2016年度比、原単位にて)し、2050年度までにカーボンニュートラルを実現することを宣言しています。菊川事業所でも電灯のLED化や省エネ型設備への更新など、CO2排出量削減のために大小問わずさまざまな活動に取り組んできました。そして、新たな施策として太陽光発電の導入を検討したのです。
当然ながら、まずは屋根への太陽光パネル設置を考えました。しかし、本事業所は操業開始からおよそ半世紀が経過しています。建屋も年季が入っており、耐荷重などの問題から「現状では屋根への設置は難しい」との結論に達しました。そこで、従業員向けの駐車場に着目し、ソーラーカーポートの設置を検討し始めました。
※1 Scope1・・・事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
※2 Scope2・・・他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
導入前の検討内容
駐車台数の確保、駐車のしづらさ、弓なりの駐車場の形状への対応が課題
導入前の課題やご検討事項について教えてください。
ソーラーカーポートの検討に際しては、いくつか課題がありました。最も懸念したのは、「駐車台数の減少」と「駐車のしづらさ」です。ソーラーカーポートでは柱を設置するため、そのスペースの分駐車台数が少なくなってしまう心配がありました。また、柱が邪魔になり、利用する従業員が駐車しづらくなることも問題に感じていました。
さらに、駐車場の一部は弓なりの形状になっており、それに対応したソーラーカーポートを設置する必要がありました。
導入方法に対してはPPAか自己資本型かで議論を行い、最終的にPPAモデルを採用しました。ソーラーカーポートを自己資本で導入すると資金の工面も必要ですし、保守・点検にも多大な労力がかかります。しかしPPAモデルのD-Solarならば、メンテナンスも、万が一のトラブル対応も全てDaigasエナジーさんで行っていただけるため、自社の設備保全担当者の負担がほぼなくなります。
初期投資ゼロで電気料金やCO2排出量を削減でき、メンテナンスの負担も軽減される。そんなPPAモデルのソーラーカーポートを「やらない理由がない」と強く感じました。
導入後の成果
年間約349トンのCO2を削減見込み
日除け・雨除けになるカーポートで利便性が向上
導入後の成果について教えてください。
車両285台分のカーポートに680.9kWの太陽光発電パネルを設置しました。1年間で約750,000kWhの電力を発電し、約349トンのCO2排出量を削減する見込みです。環境負荷低減に貢献し、「2030年度までにScope1とScope2の温室効果ガスを50%削減」という自社グループ目標に向けても大きく前進できました。
また、ソーラーカーポートが日除け・雨除けになるため、駐車場の利便性が向上しました。今ではソーラーカーポートのある所から車が埋まっていくほどの人気です。
加えて、駐車場の太陽光パネルが常に視界に入ることで、従業員のCO2削減に対する意識がさらに高まったのではないかと思います。環境対策を今まで以上に「自分ごと」として捉え、こまめな消灯やエアコンの温度設定などを意識して行うなど、行動変化につながっていると感じています。
さらに、ソーラーカーポートが発電しているタイミングであれば、停電時にも電力確保ができるようになりBCPが強化されました。当社は菊川市と「災害時の応援に関する協定」を締結し、災害時には菊川事業所の施設を避難場所として活用していただくことになっています。BCP強化で避難所としての機能も向上し、もしもの際に地域の皆さまにさらに貢献できるようになりました。
導入の決め手
当社の要望に対して一つ一つ丁寧に、柔軟に対応頂けた点が決め手
Daigasエナジーにご依頼いただいた理由を教えてください。
複数社にお声がけさせて頂いたのですが、前述のソーラーカーポート検討の課題に対して解決策を提示してくれたのがDaigasエナジーさんでした。
いろいろな要望を出させていただく中で、特にこだわったのは3点でした。
1点目は、柱の位置です。柱を後方に設置する案をご提案いただいたのですが、そこからさらに柱の位置を奥へと仕様変更していただきました。限界ギリギリまで柱を奥側に設置したことで、設置以前と変わらぬ駐車のしやすさが実現しました。
2点目は、駐車場の白線に合わせた柱の設置です。既製品をそのまま設置するのではなく、できる限り元からある白線の内側に合わせて設置いただきました。これにより、駐車台数をほぼ維持することができました。
3点目は、弓なりの形状に合わせた太陽光パネルの設置です。駐車場の弓なりになっている部分では、パネルを途中で少し切り離して設置するなどの技術的な工夫を施していただいたことで、太陽光パネルの面積を減らすことなく設置できました。
当社の要望に対して一つ一つ丁寧に、とても柔軟に対応頂けたと感じています。
今後の展望とDaigasエナジーへの期待
工場全体の電気使用量の20%を太陽光発電でまかなうことが
次の目標
今後の展望やDaigasエナジーに期待することについて教えてください。
今回の車両285台分のソーラーカーポートでの発電により、工場全体の電気使用量の約7%をまかなえるようになりました。次の目標としては、工場全体の電気使用量の20%を太陽光発電でカバーしたいと考えています。
駐車場がまだ約300台分ありますので、そこにもソーラーカーポートを設置しようと計画しています。実際に計画が動き出す際には、Daigasエナジーさんにご協力いただきたいと考えています。
また、軽量の太陽光パネルがあれば屋根への設置も可能になるでしょうし、オフサイト型PPAも検討の中には入っています。もちろん太陽光発電以外にも省エネや再エネの購入なども同時に検討していきます。進めていく中でさまざまな課題が出てくると思いますので、その一つ一つに対してねばり強く相談に乗っていただけると有難いです。
担当者からひと言
Daigasエナジーの強みはオーダーメイドの対応力だと考えています。今回もミクニさまの理想とするソーラーカーポートを実現できるよう、スタッフ全員で想いを共有しながら全力で取り組みました。 今回のソーラーカーポートの成功は、幾度もの内部調整をはじめとしたミクニさまのご尽力の賜物です。補助金や建築確認の申請手続きや、限られた期間での工事へのご対応などについても、多大なご協力をいただき心より感謝しております。
今後もパートナーとして、カーボンニュートラルの実現に向けたさまざまなサポートをさせていただけるよう努力してまいります。
広域エネルギー営業部 秋庭 史也
お客さまのご紹介
株式会社ミクニ 菊川事業所さま
株式会社ミクニは1923年に輸入商社からはじまり、その後ものづくり企業として事業を拡大して2023年10月に創業100周年を迎えられた。現在は世界11の国と地域で38の拠点を構える。四輪車や二輪車向け部品、ガス制御機器などを開発・製造しており、近年はCO2削減に関わる技術開発にも積極的に取り組んでいる。
1978年5月に操業開始した菊川事業所は、二輪車製品・四輪車製品の主力工場で、土地面積は110,658m²、建物面積は33,021m²。モーターサイクル・船外機・四輪車用燃料噴射関連機器、キャブレタ、精密機器などを生産し、豊かな社会づくりに貢献し続けている。
- 所在地
- 静岡県菊川市半済2828
- お客さまホームページ
- https://www.mikuni.co.jp/
下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。