日本盛株式会社さま

D-Fireで蒸気使用量を「見える化」し、省エネと業務の効率化を実現

日本盛株式会社さま

日本盛株式会社さまは、「企業に夢を 社会に幸せを 愛される日本盛をめざす」を企業理念に、酒造事業、化粧品・健康食品・医薬品事業、食文化事業を手がけています。
工場のIoT化の第一歩として、約1万坪の工場に張り巡らされている蒸気の省エネを目的に、工場向けIoTサービス「D-Fire」を2020年に導入いただきました。
D-Fireの活用で、手動で行っていたボイラ設備の検針作業が自動化でき、リアルタイムでの正確なデータ収集が可能になりました。
さらに蒸気使用量の詳細なデータを活用して、蒸気配管系統の集約やボイラ稼働台数の適正化を行い、省エネおよび整備・メンテナンスコストの大幅な削減が実現しました。2022年には電力系統の計測・見える化にも取り組み、さらなる省エネや業務効率化を実施しています。今回はD-Fireの導入を担当された日本盛株式会社 製品部課長代理 兼 生産管理部担当課長 辻 大一郎さまにお話を伺いました。

D-Fire導入によるメリット

  • ボイラ設備の検針作業や日報作成の自動化により、現場担当者の業務負荷を低減
  • 蒸気使用量の見える化により、改善すべきポイントを洗い出して省エネを実現
  • ボイラの台数適正化や蒸気配管系統の集約により、設備更新費用や配管改修コストを削減

導入前の課題

蒸気使用量のリアルタイム計測と、エネルギー使用量の削減が課題

導入をご検討いただいた背景について教えてください。

当工場では従来、蒸気や水、電気、温水などの使用量の測定・データ入力をすべて人力で行っていました。具体的には、担当者がボイラ室に常駐して状態監視を行い、その日の生産終了後に何十個もあるメーターを目視で確認し、集計データをパソコンに手動で入力していたのです。誤入力や読み間違いが起こらないよう慎重に作業する必要があり、手間と時間がかかっていました。
また、その日の生産終了時点という「点」のデータしかなく、本当に必要なピーク時などの使用量が把握できないという課題もありました。

日本盛株式会社 製品部課長代理 兼 生産管理部担当課長 辻 大一郎さま
日本盛株式会社 製品部課長代理 兼 生産管理部担当課長
辻 大一郎さま

異常値が掴みづらく、トラブルの原因究明や対策に遅れが生じる可能性があるほか、省エネ対策が進まない一つの要因にもなっていました。そこで、工場の蒸気使用量などをリアルタイムで見える化できるIoTシステムの導入を検討し始めたのです。
加えて、当工場は省エネ法のエネルギー管理指定工場に指定されており、年平均1%以上のエネルギー消費原単位の低減が努力義務となっています。これまで、できる省エネ対策はすべて実施してきており、限界に近づいていました。社会貢献および地球環境への配慮の観点から、「さらなる省エネを図るためにもIoTを活用するべきだ」という想いも抱いていました。

導入前の検討内容

蒸気ボイラの更新前に使用量データを分析し、工場全体の「見える化」の第一歩にしたい

導入に至るまでの流れを教えてください。

将来的な構想として、工場全体の見える化を実現したいと考えていました。生産設備・工程のデータを収集・分析できれば、生産現場のあらゆる業務を効率化または自動化したり、省エネや環境負荷低減につなげられたりするからです。そこで、まずはユーティリティ設備から見える化し、IoTを活用した業務の効率化や省エネの実績をつくろうと思いました。
特に、生産工程において重要なエネルギーである蒸気の使用量を可視化できれば有効な省エネ対策を導き出せる可能性が高く、費用対効果を出しやすいと考えました。また、蒸気ボイラの更新時期が迫っており、詳細な蒸気使用量のデータを元に適正稼働台数を把握したうえで更新計画を進めたいとの意図もあり、蒸気配管系統からの導入を検討しました。
システム導入に際しては、私たちの企業活動の根幹である工場に大きく関わるため、信頼できる企業と進めることが絶対条件でした。

導入後の成果

日報作成を自動化して業務省力化を実現
蒸気ボイラの台数適正化と蒸気配管の集約により、コストメリットも実感

導入による成果を教えてください。

D-Fireの導入で、ボイラの状態監視を遠隔で行えるようになりました。ボイラ設備の検針作業が自動化され、蒸気や電気の使用量に関する日報も自動作成されます。これまで大変な手間と時間がかかっていた業務の省力化が図れました。
時間ごとの詳細かつ正確な蒸気使用量のデータが導き出され、適正なボイラ稼働台数も明らかになりました。その結果、蒸気ボイラを2台削減しても問題ないことがわかり、ランニングコストはもちろん更新費用やメンテナンス費用も削減できました。また、D-Fireのデータを元に配管系統を見直して蒸気配管を集約したのですが、配管の改修工事が約3分の2に減り、工事コストや工事立ち合いの手間も大幅に削減できました。
また、異常値もリアルタイムで得られるので、すぐにトラブルの調査・対応を行えるようにもなりました。

ボイラ室
ボイラ室
蒸気の計測モニター
蒸気の計測モニター

導入の決め手

D-Fireの拡張性の高さとDaigasエナジーの親身な対応が決め手

導入の決め手を教えてください。

導入の決め手の一つは、拡張性の高さです。D-Fireをプラットフォームとして、IoT化を進めたい設備やシステムへと展開でき、詳細なデータを横串で収集できるのは理想的でした。
また長年のお付き合いの中で、私たちと目線を合わせて親身に対応してくれた、Daigasエナジーさんへの信頼の高さもポイントでした。今回も打ち合わせを重ねる中で、担当者の方々の情熱と熱意を強く感じ「もはや日本盛の社員だな」と思うほどでした。導入に向けた設備調査に多くの人員を割いて入念に行ってくださったことが印象に残っています。「思ったことや感じたこと、ご要望などはすべて伝えてください」と言っていただき、疑問や懸念点を伝えるとすぐに回答や新たな提案をしてくれるので、スムーズにプロジェクトを進められました。
D-Fireの仕様に関しても、例えば収集したデータを弊社の日報のフォーマットでアウトプットできるように工夫するなど、私たちが使いやすいように細かな部分に至るまで調整してくださいました。

今後の展望

プロの専門知識を活かして、一升瓶1本の生産エネルギーまで「見える化」したい

Daigasエナジーに期待することや今後の展望について教えてください。

Daigasエナジーさんの魅力の一つが、導入後の手厚いフォローです。システム導入後も私たちの疑問や要望に真摯に対応してくださり、D-Fireで得られたデータを活用して業務効率化や省エネを促進するための方法を一緒に考えてくれるので非常に助かっています。これからも、エネルギーのプロとして専門的知識をご教示いただきたいと考えています。
今後の展望としては、電力や用水・排水の監視設備についてもDaigasエナジーさんにご協力いただきながらIoT化を進めていこうと動き始めています。最終的にはD-Fireを用いて生産ラインも含めた工場全体を見える化し、一升瓶1本を生産するのにどれだけのエネルギーを使用しているのかまでわかるようにしたいと考えています。実際に2022年から電力系統の計測・見える化をD-Fireで実施し始めています。さらなる拡張によって、働きやすい職場づくりや、生産性向上などにもつながっていくはずです。

今後の展望をお話いただく辻さま

工場向けIoTサービス「D-Fire」については以下をご覧ください。

担当者からひと言

ビジネス開発部 エンジニアリングチーム リーダー 坂口 宏睦

ビジネス開発部 エンジニアリングチーム
リーダー 坂口 宏睦

日本盛株式会社さまのIoT活用のまずの目的は省エネでしたが、IoTというものは目的に応じて形を変えることができるツールです。実際に生産工程のリアルタイムセンシングやデジタル帳票を用いた品質管理なども提案させていただいており、プラットフォームを通じて簡単に拡張できることも特徴の一つです。
IoTはなかなか投資対効果を直接評価しにくいことが導入のハードルになることもありますが、日本盛株式会社さまに対しては、D-Fireのリアルタイムなデータによって蒸気使用量が多いと判明した殺菌工程を徹底的に検証・分析し、殺菌装置の更新時に製品予熱を活用した省エネの提案を行いました。その結果、エネルギーを無駄なく活用できるようになり、コスト削減にもつながりました。
今後も引き続きお客さまの課題やニーズをお伺いしながら、用水・排水や生産ラインも含めて、D-Fireの活用をご提案していきたいと考えています。

お客さまのご紹介

日本盛株式会社さま

日本盛株式会社は、日本一の酒どころとして知られる灘五郷に本社を構える酒造メーカー。
「もっと、美味しく、美しく。」をスローガンに掲げ、日本酒の製造をはじめ、化粧品や健康食品、医薬品の開発も手がけている。130年以上の歴史を有する企業ながら、脈々と受け継がれてきたベンチャースピリットによって、自然派化粧品「米ぬか美人」や糖質ゼロプリン体ゼロの日本酒、SDGs達成に資する日本酒の劣化抑制酵母の開発など、常識にとらわれない数々の業界初の商品や取り組みを生み出し続けている。

所在地
兵庫県西宮市用海町4番57号
お客さまホームページ
https://www.nihonsakari.co.jp/index.shtml
商品写真
商品写真

※掲載の情報は取材当時(2023年5月)のものです。

この事例で導入いただいた製品・サービス

  • 工場向けIoTサービス D-Fire

下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。

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