脱炭素化の早期取り組みには、光熱費削減&ブランド力向上のメリットも

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カーボンニュートラルのイメージ

2020年に就任した菅首相、2021年に就任した岸田首相は、ともに「カーボンニュートラル」に向けたCO2の削減目標を掲げました。日本でも脱炭素に意欲的な法人が増えていますが、求められるCO2削減量は非常に多く、カーボンニュートラルの実現は簡単なことではありません。しかし、私たちがCO2削減に取り組む環境は徐々に整いつつあります。

総理が掲げた「カーボンニュートラル」とは何か?

排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素を均衡する「カーボンニュートラル」の考え方は、日本のエネルギー・経済政策において重要な意味を持ち始めています。

2020年10月、当時の菅義偉首相は、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目標として掲げ、さらに2020年12月25日には、目標の達成に向け「グリーン成長戦略」を策定。水素・燃料アンモニア、自動車・蓄電池など14分野において、革新技術を実現するための技術戦略と産業戦略が示されました。

続く岸田内閣は、2050年のカーボンニュートラルの実現に加え、2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減する内容を閣議決定。この目標を達成するため、再生エネルギー導入の規制の見直しとクリーンエネルギー分野への投資を明言しました。

首相がこうした方針を打ち出し続けたこともあってか、日本の脱炭素化に取り組む法人の数は、世界でもトップクラスとなっています。たとえば、気候変動への影響に関する情報を開示する枠組み「TCFD」には、世界で最も多い670機関が賛同を表明。事業活動に必要な電力の100%を再生可能エネルギーで賄う枠組み「RE100」には、日本企業が63社参加しており、これはトップのアメリカに次ぐ多さとなっています(いずれも2021年12月31日時点)。

2030年までにどれだけCO2を削減しなければいけないのか

環境省が公表しているデータによると、日本における2013年度の温室効果ガス排出量は、14億8000万トンでした。2020年度の速報値は11億4900万トンで、2013年度比でマイナス18.4%となっています。2030年度の目標である46%、そして2050年カーボンニュートラルを実現するためには、さらなる排出量削減に対する取り組みが必要です。

カーボンニュートラル実現は決して簡単ではありませんが、時代の追い風を受けてCO2削減のためのさまざまな技術や手法が登場しており、私たちにとってはCO2削減に取り組みやすい環境が整いつつあります。

たとえばビルなどの建物でCO2排出量を削減する場合、よくある対策のひとつに、建物内の空調・照明機器に省エネタイプの製品を導入する、というものがあります。さらに、屋上のスペースに太陽光パネルを設置し、建物内の電力として使用する、という手段もあります。

こうした機器や装置の導入に加え、最近ではセンサー技術を活用して、電気の使用量や廃棄物の処理量といった「活動量」を計算し、その上でCO2削減目標を定め、省エネルギー化に取り組む対策も可能になっています。たとえば、リアルタイムにCO2排出量を把握する技術や、自動化で空調機を最適に制御する技術もこれに含まれます。

「できること」の積み重ねがカーボンニュートラル実現につながる

このほか、クリーンな再生可能エネルギーを他社から購入することで、CO2削減に貢献することもできます。たとえば、法人が発電事業者や小売電気事業者と長期契約を結び、新設した自然エネルギーの発電設備の電力を購入する「コーポレートPPA」や、電力と非化石証書を組み合わせることでCO2排出量を削減する手法も存在します。
※非化石証書……石炭や石油といった化石燃料を使用せずに発電する「非化石電源」で作られた電気の環境配慮の価値を証書化したもの

法人がこのようなCO2削減に向けた取り組みを行うことで、「脱炭素化への貢献によるブランド力の向上」というメリットを得られます。CO2削減の取り組みは、これから数十年以上も必要になるでしょう。CO2削減に向け先進的な取り組みを行えば、自然とその法人は注目を集めることになるのです。

「カーボンニュートラル2050」は、決して政府や大企業だけが目指す目標ではありません。規模の大小や業種・業界を問わず、日本全体の法人や団体、個人が意識しなければならない目標です。そしてカーボンニュートラル2050の先には、深刻化しつつある地球温暖化をこれ以上進まないようにして、持続可能な社会を作り出すという未来像があります。自分が所属する法人や団体でできることは何なのか、まずできることを確かめるところからはじめてみてはいかがでしょうか。

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