オンサイト型バイオガス化システム「D-Bioメタン」で食品廃棄物を半減し、サーキュラーモールの実現を推進
イオンモール株式会社さまは、ライフデザインディベロッパーの経営理念のもと、企業市民として、持続的な社会の実現に向けて、地域・社会に貢献・活性化する取り組みを「ハートフル・サステナブル」とされています。その具体的な取り組みの一つとして「まちの資源循環」に取り組まれています。廃棄物削減に取り組むとともに再利用の仕組みを構築し、ごみがごみではなく、資源として活用できるように、資源循環する社会をめざしておられます。2023年4月にオープンしたイオンモール豊川は、そうした目標を実現するためのモデルケースとして、脱炭素の取り組みや自治体との連携を強化した商業施設です。延べ床面積10万m²以上の商業施設として初めてZEB Ready※認証を受けており、また、国が創設した第1回「脱炭素都市づくり大賞」の最優秀賞「環境大臣賞」を受賞されました。その施設において、脱炭素・廃棄物削減の一環として導入されたのが、食品廃棄物を処理してバイオガスを製造するオンサイト型バイオガス化システム「D-Bioメタン」です。今回は、導入の背景やその成果などについて、イオンモール豊川オペレーションマネージャーの脇本一孝さまにお話をお伺いしました。
※ZEB Ready:ZEBを見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた建築物
D-Bioメタン導入によるメリット
- 飲食・食物販店舗から排出される食品廃棄物を半減
- 食品廃棄物から発生したバイオガスを燃料として活用することで省エネ・省CO2に寄与
導入の背景
サーキュラーモールのモデルとして、新しい社会的価値の共創を
目指す
御社の方針やD-Bioメタン導入の背景について教えてください。
会社の大きな方針として、環境性の高いショッピングモールづくりがあげられます。例えば、イオンモール全店舗で、使用電力を2025年までに再生可能エネルギー電力100%にすることを目標のひとつとして掲げています。再エネ活用の他にも、ご家庭の余剰電力の買取りや、脱炭素型住宅への移行のお手伝いなど、お客さまと一緒に未来につながる「より良いくらし」に向けて挑戦を続けています。
これらの取り組みを実現するモデル店舗として位置付けたのが「イオンモール豊川」です。目指したのは、モールの集積・規模を活かし、地域社会、お客さま、パートナーの皆さまとの共創によって循環型社会を実現する「サーキュラーモール」です。
サーキュラーモールを実現する上で、飲食や食物販のテナントから出る食品廃棄物の処理は大きな課題の一つでした。従来では食品廃棄物は肥料として再利用していましたが、フードロスは社会的課題であり、他の打ち手がないかと考えていました。D-Bioメタンは、食品廃棄物を削減するとともに、カーボンニュートラルなエネルギーを生み出すシステムとして期待していました。
導入時の取り組み
オープン前からテナントさまとともに、環境意識の向上に取り組む
D-Bioメタン稼働までにどのような準備をされましたか。
D-Bioメタンをうまく稼働させるためには、飲食・食物販関連のテナントさま、食品廃棄物の管理業者さまのご協力が不可欠でした。テナントさまには各店舗から出る廃棄物の分別作業を、最終的にD-Bioメタンシステムへ食品廃棄物を投入していただく廃棄物管理業者さまには分別後の廃棄物に投入してはいけないものが含まれていないかの確認作業をお願いしました。自分達が分別した廃棄物からエネルギーが作れることに驚かれると同時に、戸惑いやご苦労もあったと思いますが、ご協力いただき感謝しています。D-Bioメタンがスムーズに稼働したのは、関係者のみなさんに「イオンモールで働くことで環境に貢献できている」という意識を持っていただけたことが大きかったと感じています。
導入後の成果
フードロス対策の新たな打ち手として、D-Bioメタンで食品廃棄物を半減
導入後の成果について教えてください。
D-Bioメタンにより、食品廃棄物を半減することができました。運営側としてはとても嬉しいですし、社会的にも意義のあることだと感じています。さらに、D-Bioメタンで製造したバイオガスを燃料としてバイオガスコージェネレーションを運転し、カーボンニュートラルな電気と温水をつくってモール内で利用することにより、省エネ・CO2削減も図ることができました。
また前述の通り、D-Bioメタンを稼働していく中で、各テナントさまや廃棄物管理会社さまと環境への取り組みに対する共通の意識を持てたことも大きな成果だと思います。
SDGsツアーを行っていると伺いました。
モール内の環境設備などがある場所へ案内して取り組みを紹介する1時間程度のプログラムであり、D-Bioメタンも見学先の1つになっています。2023年秋から始めてこれまで24回実施しており、学校、官公庁、企業、商工団体など多くの方々に参加いただいています。お客さまにイオンモールの環境に対する先進的な取り組みや新しい価値を知ってもらえる良い機会になっています。
ツアーは10名ほどいるインフォメーションスタッフが対応していますが、取り組み意欲が高く、ツアー参加者の中に手話が必要な方がおられると聞いた際にはスタッフ自らが進んで手話を学習しました。サーキュラーモールの実現に向けて、スタッフとも共通の目標を持って取り組めていることをとても嬉しく感じています。
今後の展望とDaigasエナジーへの期待
3つの方針「脱炭素」「防災拠点」「自然との共生」に沿って、さらなる取り組みを推進
今後の展望やDaigasエナジーに期待することについて教えてください。
イオンモール豊川では「脱炭素」「防災拠点」「自然との共生」の3つを推進しています。「脱炭素」については前述の通りで、「防災拠点」については地元の豊川市と防災協定を結んで一時避難場所として提供できるようにしています。EV(電気自動車)を充電できるEVステーションを備えていますが、停電時にもEV充電スポットとして使っていただけるようになっています。また、断水時には受水槽からの上水の提供が可能です。
「自然との共生」に関する新しい取り組みとして、愛知県産の木材を使用した子ども向けの木の遊び場を増やす予定です。愛知県の森林の状況や、虫の鳴き声、川のせせらぎなどを再現し、モールの中で自然と触れ合える環境づくりを進めたいと考えています。
今回、Daigasエナジーさんには、脱炭素や廃棄物削減に対するノウハウを分けて頂き、感謝しています。営業担当の谷口さんにも熱意を持って対応して頂きました。今後については、コージェネレーション廃熱の有効利用などエネルギーをより効率的に使うための提案や、脱炭素に資する新たなサービスの提案を期待しています。
担当者からひと言
イオンモール豊川さま新店ご計画に際し、構想段階から地域・社会貢献に資する取り組みをご提案してきましたので、形となり大変うれしく感じています。D-Bioメタンについて、オープン後、生ごみ分別の運用確立まで大変苦労しましたが、イオンモールさま、飲食テナントさま、廃棄物管理会社さまのご協力を得て稼働していることを本当に感謝しています。今後もお客さま・社会にとってより良い提案ができるよう邁進していきます。
都市圏営業部 谷口 昇平
お客さまのご紹介
イオンモール株式会社 イオンモール豊川さま
イオンモール株式会社は、ショッピングモールの開発と運営、大規模地域開発を手掛ける企業であり、モールは国内に165店舗、海外に38店舗の計203店舗(2024年6月現在)を運営している。「未来につながるより良いくらしを」というイオン脱炭素ビジョンのもと、地域とともに持続可能な社会の実現を目指し、脱炭素社会の実現に積極的に取り組んでいる。
イオンモール豊川は2023年4月に愛知県豊川市に開設。敷地面積約12万8000平方メートル、地上3階建て(延べ床面積約11万3000平方メートル)の建物内には、核店舗、イオンスタイルのほかに約190の専門店やフードコート、レストランなどを展開している。「はじめてを、はじめよう。」をコンセプトに、地域の方々が集い、交わる緑豊かなガーデンスペースをはじめ、スポーツやアウトドア体験ができる屋外広場を配置。その他にも、一日中楽しめるエンターテインメント施設、日常を彩る話題のライフスタイル型専門店を導入し、新たな出会いと体験を創出する街のにぎわい拠点となっている。
- 所在地
- 愛知県豊川市白鳥町兎足1-16
- お客さまホームページ
- イオンモール株式会社 https://www.aeonmall.com/
イオンモール豊川 https://toyokawa.aeonmall.com/
下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。