既設設備を活用してデマンドレスポンスサービス D-Responseに参加
コストメリットを生みながら電力系統安定化に貢献

三井化学株式会社さまは、化学技術でさまざまな素材を創り出す総合化学メーカーです。メガネレンズ材料や不織布、農薬、包装材料をはじめとした「ライフ&ヘルスケア・ソリューション」、自動車材料を中心とする「モビリティソリューション」、IoTに関わる新しいソリューション事業を創出する「ICTソリューション」、環境負荷の低減や脱炭素社会の実現に寄与する「ベーシック&グリーン・マテリアルズ」という4つの事業領域で社会課題の解決に貢献しています。
同社の主力工場の一つである大阪工場において、2022年からデマンドレスポンスサービス「D-Response」にご参加いただいています。今回は参加の経緯や検討内容、参加後の成果などについてご担当者さまにお話を伺いました。
D-Response参加によるメリット
- 既設設備の活用により新たな投資なしでコストメリットを創出
- 「電力系統安定化」と「再エネ電力普及」に貢献
参加の背景
社会課題を解決するという企業理念のもと、電力系統安定化に資するデマンドレスポンスを検討
「D-Response」への参加をご検討いただいた背景について教えてください。
2021年に、2024年の容量市場への参加に向けて検討を初めたのがきっかけでした。デマンドレスポンスの報酬から得られる経済的なメリットを魅力に感じたのもありますが、社会の電力系統安定化に貢献できる、という点も大きなポイントでした。電力供給が苦しくなると、弊社も電力会社から電力を購入しているため工場の操業に影響を及ぼす恐れがあります。そのような際に、弊社が発電をして少しでも電力事情の緩和に役立てたらとの想いがありました。また、「社会課題を解決する」という弊社の企業理念にも合致する取り組みであったため、前向きに検討しました。
参加前の検討内容
発動時の対応の流れや体制について、社内関係各所と調整を実施
「D-Response」への参加に至るまでの流れを教えてください。
参加にあたってはいくつか懸念点がありました。まず、デマンドレスポンスが発動された際の対応についてです。デマンドレスポンスでは発動の3時間前に対応依頼の連絡が来ます。デマンドレスポンスの対応は工場の発電プラントの運転管理をしているメンバーで実施しますが、通常の業務がある中タイムリーに対応できるか調整が必要でした。デマンドレスポンスは蒸気タービンの発電によって対応していますが、発電に必要な蒸気量のバランス調整も不可欠です。発電プラントや関係各所のメンバーに、デマンドレスポンスをする意義を理解してもらえるよう努めながら、発動時の対応の流れや体制について社内のコンセンサスを取っていきました。
また、工場では設備の定期修理を行っており、1ヵ月以上の期間を要する場合もあります。定期修理時にデマンドレスポンスが発動されると対応できないというのも懸念点でした。この点はDaigasエナジーさんにも事情をご理解いただき、双方にとって最適な契約条件を探っていきました。検討の結果、参加に対する大きなリスクはないと判断し、2022年からDaigasエナジーさんへお願いすることに決めました。
参加後の成果
報酬の経済的メリットに加え、電力系統安定化へ貢献できたことが成果
「D-Response」への参加による成果を教えてください。
2024年は現時点で7回の発動要請に対応し、報酬による経済的なメリットを享受できました。昨年に比べて発電要請の回数が増えており、デマンドレスポンスの必要性が高まっている印象です。電力の供給が不足して供給量の制限を受けてしまうと自社の生産活動にも影響しますので、そのような事態が起こらず電力系統安定化に貢献できたことが一番の成果だと思っています。
参加の決め手について
ガスの安定供給を始めとした信頼感や細やかなサポートが決め手
参加の決め手やDaigasエナジーにご依頼いただいた理由を教えてください。
前述の報酬による経済的メリットや社会貢献に加えて、既設設備を有効活用できる点も決め手の一つでした。新たな設備投資をすることなく取り組めるのはデマンドレスポンスのメリットだと思います。
Daigasエナジーさんは、大阪工場が操業をスタートした時からのお付き合いであり、長年のガスの安定供給を始めとして企業としての信頼感がありました。デマンドレスポンスに関しても弊社の事情を汲んで調整してくださったり、工場の設備について把握した上で発動対応のサポートや結果報告などをスピーディに対応いただけており、心強いパートナーと感じています。
今後の展望とDaigasエナジーへの期待
三井化学グループ全体で2050年カーボンニュートラル達成に向けて推進
今後の展望やDaigasエナジーに期待することについて教えてください。
デマンドレスポンスは2022年から実施しており、今後も弊社の意向に合えばDaigasエナジーさんに協力したいと考えています。将来に向けては、三井化学グループ全体として2050年までのカーボンニュートラル達成を目指しています。また大阪工場においても、2030年近傍に実装可能な技術をパッケージ化した「大阪工場カーボンニュートラル構想」を策定し、その実現に向けて推進していますので、引き続きご協力いただきたいと思っています。
担当者からひと言

三井化学大阪工場さまでは、予備機としてお持ちだった既設の蒸気タービンを活用頂き、2022年からデマンドレスポンスに参加頂きました。デマンドレスポンスは、2023年4月に施行された改正省エネ法でも評価対象に加わるなど、重要性が高まってきています。今後も継続してご参加いただけるよう、発動対応のサポートなどを真摯に対応させて頂きます。
近年ではグループ全体として「2050年までのカーボンニュートラル達成」に向けて力を注がれています。三井化学さまとは以前より、LNG冷熱を利用した省エネプロジェクトや、大阪工場へのガスタービンコージェネレーションシステムの導入など、省エネやGHG排出量削減に向けて共に取り組ませて頂きました。今後もカーボンニュートラル実現にお力添えできるよう、低・脱炭素につながるソリューションを総合的にご提供していきたいと考えています。
広域営業部 山之内 翔勇
お客さまのご紹介
三井化学株式会社 大阪工場さま

三井化学株式会社は、1997年に三井東圧化学と三井石油化学が合併して誕生した総合化学メーカー。素材の革新・創出を通して世の中の課題を解決し、社会に貢献している。多彩な製品・サービスを提供しており、世界トップシェアの製品も多数。大阪工場は主力工場の一つで、敷地は甲子園球場約40個分、155万m2の広さを誇る。堺・泉北臨海コンビナートに位置し、ナフサクラッカーで製造するオレフィンやアロマティクスを原料に、ポリプロピレンやフェノール等の誘導品を生産している。
- 所在地
- 大阪府高石市高砂1-6
- お客さまホームページ
- https://jp.mitsuichemicals.com/jp/index.htm
※掲載の情報は取材当時(2025年2月)のものです。
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