業界の動向
●日本鉄鋼連盟によると、4〜6月期の粗鋼生産量は前年同期比4.3%増の2,750万トンだった。亜鉛めっき鋼板や広幅帯鋼などエコカー補助金による自動車向け鋼板の生産拡大が寄与した。
●日本鉄鋼連盟によると、5月の鉄鋼輸出量は前年同月比21%増の401万1,000トンだった。15ヵ月ぶりに前年を上回り、2011年3月以来の400万トン超となった。一時的に円安ドル高基調に戻ったことが輸出増につながった。
●日本への鋼材輸入量が増えている。日本鉄鋼連盟によると、5月の普通鋼鋼材輸入量は1%増の39万5,000トンと2ヵ月ぶりに前年を上回った。韓国や中国などアジアの国々で生産設備が増強され余剰感が強まっている。
●日本伸銅協会によると、5月の伸銅品生産量は6万5,320トンで前年同月比10.2%減だった。12ヵ月連続で前年を下回り、減少幅は5ヵ月ぶりに2桁台に拡大した。電子部品関連を中心に不振だった。
●伸銅品やアルミ二次合金など非鉄金属加工製品の流通価格が下落している。地金の国際価格の下落や国内市場の縮小、中国などからの割安な輸入品の流入が要因だ。
●日本電線工業会によると、6月の銅電線出荷量は前年同月比1%増の5万7,300トンだった。自動車など製造業関連は需要が増加したが、通信・電力向けの不振で増加幅は小幅にとどまった。
●内閣府の機械受注統計によると、5月の機械受注額(船舶・電力を除く民需)は前月比14.8%減の6,719億円となり、再び前月を下回った。4月に化学工業などで大型案件が集中した反動減が要因だ。
●日本工作機械工業会によると、6月の工作機械受注額は1,086億5,400万円で前年同月比15.5%減だった。2桁の減少幅は2009年10月以来32ヵ月ぶり。内需も外需もマイナスだった。
●複合機メーカーはスマホやタブレットを利用するサービスを拡充する。外出先などでデータをやりとりできるなど使い勝手を高め、減少する印刷需要を掘り起こしたい考えだ。
●電子情報技術産業協会によると、4月の電子部品世界出荷額は前年同月比1.0%増の2,614億円となり、3月に続き小幅ながら前年を上回った。部品別では、小型モーターなどの変換部品が同36.0%増、接続部品も同2.0%増と増加が続いているが、コンデンサーなどの受動部品は同12.0%減となり、部品別に好不調がはっきりと分かれた形だ。
●NAND型フラッシュメモリーの大口向け需要価格の下落が続いている。大手半導体メーカーの出荷抑制で下げ止まり感はでてきたものの、供給過剰は解消していない。主用途のスマホも価格競争が激化し、製造原価を抑えるためNANDの搭載容量を抑える企業もあり、先行きは不透明感が強い。
●近畿経済産業局によると、4月の近畿地区窯業製品生産量は、安全ガラスが112万8,000m2で前年同月比97.9%増となり、大幅に増加し、3ヵ月ぶりに前年を上回った。複層ガラスは、16万4,022m2で同2.6%増と4ヵ月連続で前年を上回った。セメントは、36万4,000トンで同9.7%減と4ヵ月ぶりに前年を下回った。
●経済産業省によると、全国セメント生産量は390万1,000トンで前年同月比3.1%減と5ヵ月ぶりに前年を下回った。販売量は395万5,000トンで同1.6%増と5ヵ月連続で前年を上回った。販売量は首都圏での再開発需要が増えたことや、東北地方が東日本大震災からの反動増で増加している。
●石油化学工業協会によると、5月の主要4樹脂の国内出荷量はPPを除く3樹脂で前年を下回った。PSは液晶テレビ、パソコン向けなどか不振で、前年同月比13%減と、4月に続き2桁の減少幅だった。
●石油化学工業協会によると、2012年上期のエチレン国内生産量は前年同期比11%減の296万900トンだった。半期で300万トンを割り込むのは、1994年上期以来18年ぶりだ。世界的な需要減と円高による割安な輸入品増加が背景にある。
●節電の夏を乗り切る「冷感商品」が相次いで発売されている。今夏は効き目のより強い商品か発売され、女性向けの品揃えも充実している。
●近畿経済産業局によると、4月の近畿の段ボール原紙生産量は13万5,329トンで前年同月比1.3%減、段ボールシートは2億1,121万5,000m2で同2.3%減と、どちらも2ヵ月連続で前年を下回った。
●塗工紙の卸価格に先安観が広がっている。経済産業省によると、5月の在庫量は前年同月比48%増と大幅に伸びている。割安な輸入品も増えており、当面は下落傾向が続きそうだ。
●製紙会社が発電事業の強化に乗り出した。本業の紙は需要低迷が続いている。再生可能エネルギー買取制度が始まったことも後押しとなり、各社は自家発電設備などを活用して、発電事業を収益の柱に育てたい考えだ。
●日本化学繊維協会によると、5月の化学繊維国内生産量は8万5,104トンで前年同月比4.4%減となり、7ヵ月連続で前年を下回った。品種別ではアクリル短繊維が同20.4%減と大幅に減少している。
●日本化学繊維協会は「内外の化繊工業の動向」を発表した。2012年第1 四半期化学繊維生産量は前年比3.3%減の24万7,000トンだった。自動車関連需要は回復してきたが、けん引役だった高密度織物向けが減速した。
●「ステテコ」の利用者が増えている。従来の白色だけでなく、色や柄が豊富なデザインや、涼感・消臭機能が向上し、女性の部屋着向け商品も登場している。
●自動車業界団体によると、2012年上期の国内新車販売台数は294万7,357台で前年同期比53.6%増だった。上期としては2年ぶりの増加。エコカー補助金効果もあり、軽自動車は過去最高を更新した。全軽自協によると、109万423台で同50.6%増。低燃費車や新型車の販売も好調だった。
●エコカー補助金の終了が間近となり、自動車各社は新車購入者への優遇策を打ち出している。補助金申請が間に合わなかった場合、購入者に相当額を還元するなど。新車販売は補助金効果で前年比5割以上の増加が続いているが、打ち切りで反動減は必至とみて、各社は、独自の対策でできるだけ食い止めたいとしている。
●日本電機工業会によると、5月の白物家電国内出荷額は1,899億6,700万円で前年同月比3.3%増と2ヵ月ぶりに前年を上回った。冷蔵庫が同7.5%増、洗濯機が同3.6%増、エアコンが同10.2%増と、主力製品が好調だった。
●電子情報技術産業協会によると、6月の薄型テレビの出荷台数は55万7,000台で前年同月比80.3%減だった。BD録画再生機も同60.7%減となり、薄型テレビともども苦戦が続いている。
●スマホと連携して便利に使える家電製品が増えている。テレビやデジタルカメラのほか、電子レンジや掃除機などの白物家電にも登場。スマホ普及を追い風に、新しいタイプの家電に消費者の関心も集まっている。
●農林水産省によると、6月の生乳生産量は64万2,043トンで前年同月比2.1%増と8ヵ月連続で前年を上回った。用途別では、牛乳等向けは35万1,307?で同0.1%減とほぼ前年並みだった。
●黒ビールが人気だ。低アルコール飲料が増えるなど消費者の好みが多様化するなか、従来よりもすっきりとした飲み口や値ごろ感から中高年だけでなく若者にも好評だ。
●食品メーカーがレシピ本を相次いで発売している。自社の定番商品を利用した新メニューなどを紹介する。人口減少で市場が縮小する中、新しい食べ方を提案して需要を喚起したい考えだ。