導入機器
ようやく席に着いたお客さまが、まず目にするのは、カウンター内のほぼ中央に設置されたピザ窯(熱源はガス)。日本料理の枠にとらわれることなく独自のスタイルを築いてきた佐々木さまです。なぜピザ窯なのか。選んだ最大の理由は、その火力にありました。「オーブンはせいぜい300℃。ピザ窯なら800℃近くになるし、遠赤外線の効力もでます」。超高温加熱に挑むことで日本料理を多様に広げたいとの思いがあったようです。
日本料理店には前例のないピザ窯ですが、既製品の1.5倍もある大きな石窯を特注。ガスのブラスト方式による強力バーナーを採用しています。「野菜、肉、魚、あらゆる食材を焼いてみました」と佐々木さま。窯の内部では周囲から加熱され、素材を裏返す手間がいりません。「火が入るのは早いし、出来上がる焼き物は今までになく新鮮なんです。ウナギなんて皮パリパリ、身はふっくらと焼けますからね。レタスを入れて45秒、塩とオリーブオイルだけでもびっくりするほどおいしいんですよ」。高温になるのに時間はかからず、一定の温度で調整しやすいのがガスの特徴です。こうして、ピザ窯は佐々木さまに使いこなされ、大きな戦力になっているのでした。
10mある一枚板のカウンターでは「全席17名分を並べ、どんどん作っていきます」その動きだけでなく「小鍋がコンロでくつくつと煮立つのが見えることも大事なんです」という舞台には、ガスの火が欠かせません。厨房は、カウンターの背後に設けられています。御飯は必ず土鍋で炊いていることでもうかがえますが、主な熱源はガス。「日本料理では直火をけっこう使います。だから、炎のあるガス火でないとね。ガスには水素が入っているので、直火でもしっとり仕上がるのがいいんです」。楽しい味“楽味(らくみ)” の世界を広げる佐々木さま。一見、豪快で大胆に見える料理は、筋が通った信念のもと、繊細で細やかな心配りの賜物です。
ピザ窯
パン焼石窯
ガステーブルコンロ
手前がオーブン搭載のガスレンジ、奥はガステーブルレンジ
ガス赤外線グリラー
ガススチームコンベクションオーブン
割烹「祇園さゝ木」
現「祇園さゝ木」は主人の佐々木浩さまが独立して3件目だが、予約で満席の状態は変わらず続いている。お客さまのお目当てはカウンターで繰り広げられる佐々木さまのパフォーマンスと独創的な料理の数々。もちろん、熱源はガスの火。