導入機器
小霜さまがシェフとして実績を重ねたのは、京都の人気フレンチ「ドゥーズ・グー」。町家を利用していたのも評判でした。しかし、住居だった空間は、必ずしもレストランに相応しいものではなく、不都合な面も多々あったようです。だから、新しく店を出す話では、真っ先に考えたのが“箱”といいます。「まず、望むような空間づくりが可能なスペースを探しまわりました」。移転先も、たまたま見つかったので、芦屋なのだそうです。
新店は、集合住宅の1階部分。専用庭や物置が使えてバックヤードを確保でき、ホールや厨房に効率よく面積をさける物件です。まず、実現させたのは、フルオープンの厨房。小霜さまが望んだのは、お客さんとしっかり向き合える空間でした。サービスカウンターを境にして、奥まで見渡せるのが厨房。ガスの火も、料理する姿も素通しです。対して、ホールはテーブル席しかない徹底したシンプルさ。店内で、ホールと厨房、2つの空間が相対しあうように並んでいるのです。供されるひと皿の料理へ、自然に意識が注がれます。「食事されるお客さんの表情が見えますから、いろいろ確かめられるんです。見てもらえることも、うれしいですから」と小霜さま。
厨房は約9坪。センターの調理台を囲んで作業できるレイアウトです。加熱調理機器は、すべてガス。理想を実現したフルオープンの厨房で、料理する姿を見せるとき、赤いガスの火は、音や匂いとともに臨場感を高め、演出効果という面でも欠かせません。多様に火入れをおこなうフランス料理。小霜さまも「オーブンに頼らず、フライパンにつきっきりで作るほう」。手や目を駆使してガスの火を使いこなします。それでも「ガススチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)は、仕上がりの精度が高いので頼りになります」と、新しい店には導入。店も厨房も、より理想に近づけて、小霜さまは、京都時代とは異なった手応えをもっているようです。
ガススチームコンベクションオーブン
ガスサラマンダー
ヒートトップ付きガスレンジ(ヒートトップ1口、トップバーナ2口、オーブン2口)
ガス寸胴レンジ(コンロ大1口)
フランス料理 Koshimo +plus(コシモプリュス)
リーガロイヤルホテル(大阪)で長年研鑽を積み、京都の「Douze gout12+」シェフに就任を経てオーナーシェフとして芦屋に「コシモプリュス」をオープンさせる。外から窓越にうかがえるのは厨房のみ。店内も、ホールには家具や調度品はなく、テーブル席が配置されただけの清々しさが際立つ。