導入機器
「Fujiya1935」の開店は2003年。当時は、エスプーマや液体窒素を駆使した技、注射器や試験管で供される演出など強烈なインパクトで話題を集めました。しかし、科学的なアプローチの本意は、そういう側面ばかりにあるのではありません。「香りをかいだり、五感で味わうことで、おいしいと感じる感覚を拡張させ、脳を刺激する。そこから、新しい味覚体験へ導きたいのです」と藤原さま。やがて、その追求は、記憶に残る味覚の活用へと進みます。
「四季折々の味の記憶を呼び起こせ、都市の中でも自然を感じられる環境にしたいと考え、店を再び改装しました」と藤原さま。2010年リニューアル後の現在は「Fujiya1935」第二期となる店舗です。厨房も「オープンキッチンで見えるのを前提に、格好良く、清々しく働ける厨房にしたい」と大改装。約10坪の四角い空間全体が一体になるよう、レンジも調理台もステンレスで造り込まれたオリジナル厨房です。出入り口以外の壁3面にそって調理台が並び、加熱調理用レンジはセンターに配置。動線が重なりませんから、効率のよいレイアウトです。整頓された厨房は、まさに実験室ともいえるラボラトリーのような雰囲気。藤原さまの料理に集中する姿が映えます。
床は、乾きやすいドライ厨房。天井には「ウィンボック換気システム」など装備も最先端です。加熱調理器は、大型ガスコンロ、ヒートトップ付きガスレンジ(ガスオーブン搭載)、ガスパスタボイラー(涼厨)、サラマンダー、減圧加熱調理器ガストロバック、ガススチームコンベクションオーブン、クッキングヒーターなど多様に備えられ、熱源も使い分けられています。大型ガスコンロは、従来は寸胴鍋用の大容量ローレンジを、あえてレンジ台の上に据え付けたものでした。おいしさは、香り、色彩、形(固体、気体、液体の三態)など、緻密に組み立てられて発揮される藤原さまの料理。味わう側の想像をさらに超え、進化しているのです。
ガスコンロ
ヒートトップ付きガスレンジ(下にガスオーブン)
ガスオーブン(上にヒートトップ付きガスレンジ)
ガススチームコンベクションオーブン
ガスパスタボイラー
イノベーティブ Fujiya1935
料理と科学を融合させた、最先端の料理を味わえる。科学的なアプローチだけでなく、都市と自然という新たなテーマとも向き合っており、いくつもの要素をさらに融合させ、独自の表現に磨きをかけている。スタッフはすべて女性。